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政府の「残業代ゼロ」法案に反対する院内集会――「女性活躍どころではない」

2015年3月25日6:44PM

集会で「高度プロフェッショナル制度」の不備を指摘する竹信三恵子さん。(撮影/村上朝子)

集会で「高度プロフェッショナル制度」の不備を指摘する竹信三恵子さん。(撮影/村上朝子)

政府が今国会に提出予定の「残業代ゼロ」法案に反対する集会が3月9日に東京都内で開かれ、会場では「子育て支援に逆行し、女性活躍どころではない」「一日8時間労働制度が崩壊し、過労死が増加する」と懸念の声が上がった。

衆議院第一議員会館で開かれた「子育て・女性活躍から残業代ゼロ法案を考える」集会には約150人が参加。労働基準法改正案の危険性を生活者の立場から捉え直そうと、労働政策の専門家や弁護士、子育てや過労死の問題に取り組む人たちが登壇した。

同法案には「高度プロフェッショナル制度」が盛り込まれている。高度専門職・高収入の人々を対象に、労基法で定められている労働時間の上限規制をなくし、長時間労働でも残業代を“ゼロ”にできるというものだ。

竹信三恵子・和光大学教授は、高収入で高度な専門職の人だけに関係すると思われているが、収入の線引きや専門性の内容は、法案が通ったあと省令で決まる。幅広い生活者層に影響を及ぼす可能性があると指摘し「子育てにとって、一日8時間という規制はとても重要です。成果をあげるまで帰さないと言われたら子どもはどうやって生活するのか」と疑問を呈した。

父親支援を通して社会変革を目指すNPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事の安藤哲也さんは、女性活躍を掲げるのなら父親が育児できるよう長時間労働を規制する方向に進むべき、と述べた。

また、過労による自死で1999年に小児科医の夫を失くした「東京過労死を考える家族の会」の中原のり子さんは、「高収入の人なら過労死してもいいのか。残業代も支払われず、働いても、働いても、成果をあげることを求められる。この働き方は夫の働き方だ」と訴えた。

その危険性を身近な問題として捉え、多くの人が反対の声を上げることが大切だろう。

(村上朝子・ライター、3月13日号)

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