上西議員を党除名で乗り切る橋下市長――大阪都構想占う府・市議選
2015年4月24日1:50PM
「本当に申し訳ありません。今日の晩、本人に会見させて即刻処分を決めますよ」。大阪府議選と大阪市議選の告示日だった4月3日の午後、満開の桜が雨に濡れる大阪市此花区の千鳥橋みどり公園。
公務を早く切り上げ、大阪維新の会の大阪市議・大阪府議候補の応援演説に駆け付けた橋下徹代表(大阪市長)は街宣カー上で上西小百合衆院議員の不祥事を謝罪(翌日除名)した後、パネルを次々と見せながら、「こんな税金の無駄遣い、役人高給や天下りに自民、公明、民主、共産は何もしてこなかった」と批判し、市議会で条例案が二度否決された地下鉄民営化について「料金を20円下げるのも大変なことなんです。それを維新の党はやったんです」と熱弁した。
だが、5月17日に予定されている都構想の住民投票について「住民投票することには賛成だが都構想には反対」とする公明党にはもちろん、都構想自体にほとんど触れず、税金無駄遣い批判から常に4党を並列で批判していた。
大阪市を廃止し大阪都として五つの特別区に分け、二重行政による税金の無駄遣いをなくし東京都のような力をつける、とする大阪都構想だが、有権者にわかりにくく集票に結び付かないことを認識している。12日投開票の二つの重要選挙で市議選での過半数は断念したが、府議選では「住民投票で都構想に賛成の結果が出れば、大阪府議会での条例改正などを迅速に進めるためにも過半数は重要」(松井一郎大阪維新の会幹事長・府知事)と過半数確保を目指す。
最盛期、府議会で過半数あった維新の会も離党が相次ぎ現在は半数を割る。公務の合間にも都構想の説明会を400回も行なった橋下市長は「都構想が否決されれば市長を辞める」と宣言している。
「5月の住民投票は今年、最大の政局」と言われ、ある自民党幹部は「地方選で維新を叩き住民投票でも都構想を葬らなくては」と話す。
(粟野仁雄・ジャーナリスト、4月10日号)