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長期契約で川崎重工業に3400億円――時限立法で武器予算拡大

2015年4月28日10:02AM

防衛装備のため、長期契約を可能とする「特定防衛調達特別措置法案」が提出され、衆院安全保障委員会で4月2日までの4時間弱の審議で可決、参院へ送られた。

予算組みは単年度ごとが基本。国会の議決があっても5年を超える契約で債務負担(支出)することは財政法違反だ。ところが、この法案は、中期防衛力整備計画に必要な約25兆円を7000億円削減すると算定し、防衛装備の買い控えではなく、まとめ買いで削減するとして、10年以内の長期契約を、計画終了年である2018年度末まで結べる時限立法だ。終了年に2028年までの契約が可能で、「防衛省による武器予算長期囲い込み法」と言うべき法案だ。審議では「2015年度では固定翼哨戒機(P-1)20機のみを要求しているが、来年度以降は対象を広げるのか」と問われ、中谷元防衛大臣は「SH-60KやUH-60Jの固定翼機が対象になりうる」と答え、後に「回転翼」と訂正した。まるで中身が分からないまま子どもにねだられたプラモデルのリストのようだ。

ちなみにP-1の製造社は川崎重工業1社のみで同社は20機分3400億円を手にしたも同然だ。しかし、審議ではP-1には1機156億円の購入実績があり、今回は1機170億円で単価は上がることが判明。左藤章防衛副大臣は通信など必要な仕様を付け「191億円と査定されたものが170億円」だと釈明。企業の言い値であり、縮減効果はウソに近い。

衆院では共産・社民以外は全党が賛成し可決した。

日本経済団体連合会は、昨年4月に武器輸出三原則撤廃と同時に誕生した「防衛装備移転三原則」を歓迎し、翌5月には経済産業省と防衛省を招いて説明を聞いた。今年1月には、財政悪化で国が戦闘ヘリコプターの発注を取りやめて損害を被ったとして富士重工業が国を訴えた裁判で、国に350億円余の支払いを命じる高裁判決が出た。今回の法案で、財政悪化にかかわらず、医療や社会福祉を削ってでも武器商人に税金を投じる道ができた。時限の延長は折り込み済みだろう。今年度の防衛関係予算は補正予算を含め過去最高の5兆円を超え、栄えるのは軍需産業だ。このままでは参院では21日にも採決の可能性がある。

(まさのあつこ・ジャーナリスト、4月17日号)

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