都労委がフランチャイズ加盟店主は「労働者」と判断――セブン、ファミマ連敗の背景
2015年5月11日1:06PM
東京都労働委員会は16日、コンビニエンスストア第3位のファミリーマートのフランチャイズ(FC)加盟店主は、ファミマ本部の事業組織に組み込まれた労働力で「労働組合法上の労働者」と判断し、加盟店主との団体交渉に応じるよう命令書を出した。昨年3月、最大手のセブン-イレブン・ジャパンの加盟店主を労働者と判断したのに続く2例目で、わが国を代表する二大チェーンのFC手法が糾弾され連敗した。
このFC加盟店主は「事業者」か「労働者」か、という問題は、ファミリーマート加盟店ユニオン(岡山市)が2012年、都労委に不当労働行為で救済を申し立てていた。経営の自由がなく、再契約時でも本部の一方的判断で契約更新ができないなど不当な扱いを受けてきたからだ。
命令書を見た瞬間、ガッツポーズで喜んだ酒井孝典執行委員長は、記者会見で「全国の加盟店主の実態からみて当然だ。セブン-イレブンの岡山県労委につぐ2回目の判断に大きな意義がある」と語った。宮里邦雄弁護士は「ユニオンが法的に認知され、本部と対等な交渉ができるところに重要な意義がある」と指摘した。
酒井委員長は会見後、東池袋のファミマ本社を訪問し、幹部社員に会い、団体交渉申入書を手渡した。ファミマ幹部は「中央労働委員会に再審査の申し立てを行う予定」と説明したという。
セブン、ファミマの加盟店主が相次いで訴えた背景には、フランチャイズの仕組みが経営の自由などなく、年中無休で24時間働かされ、反抗すれば契約解除で使い捨てられる悲惨な実態がある。経営苦から夜逃げ、離婚、自己破産、自殺に追い込まれた店主も数えきれない。今度の都労委の裁定は、労働実態を評価しており、現在、中労委で審議中のセブン-イレブン事件の判断に大きな影響をあたえることになりそうで注目される。
(渡辺仁・ジャーナリスト、4月24日号)