陸自配備計画の与那国島で反対派住民たちが――差し止め仮処分を申請
2015年6月24日11:29AM
与那国島(沖縄県八重山諸島)への陸上自衛隊配備問題で、反対派の住民グループ(上地国生・田里千代基・崎元俊男共同代表)30人は6月1日、駐屯地建設の差し止めを求める仮処分を那覇地方裁判所石垣支部に申請した。
防衛省は新防衛大綱等(22大綱に基づく23中期防)の一環で、2016年3月末までに工事完了し、150人規模の陸上自衛隊沿岸監視部隊を配備する計画だ(本誌2015年5月15日号参照)。
住民グループは申し立ての理由に、(1)尖閣問題等で隣国との緊張が高まる中、有事に島が攻撃対象となれば平和的生存権が脅かされる、(2)沿岸監視レーダーの電磁波が生体に及ぼす影響(健康被害)が不明、(3)人口1500人ほどの町内に150人超の組織票(自衛官)が入ると住民自治は崩壊する、(4)通信監視施設による町民の携帯電話等の傍受は憲法21条第2項のプライバシー権を脅かす――などを挙げ、計画は基本的人権の侵害にあたると主張している。
住民グループ共同代表の崎元俊男町議会議員は同日、東京・防衛省前でこうも訴えた。
「基地機能の説明を防衛省はまったくしておらず、住民側が質問をしても答えない。まず安全を保障してから(計画を)行なうべきだ」
「レーダー運用に大量の冷却水を要するというが、旱魃では農業用水の確保で精一杯。基地建設に合わせた地下ダム構想も聞くが、短期間で解決する問題ではない」
崎元町議は5月31日も都内の市民集会で講演し、陸自配備の是非を問う住民投票(2月22日実施、賛成多数)の総括を行なった。
一方、自民党は5日、自衛隊の艦船が利用し易いよう「特定国境離島」の港湾整備を促すことなどを盛り込んだ「国境近くの人が住む離島を保全する議員立法」の概要をまとめた。「保全」や「振興」といった美名のもと、「切れ目のない」軍事要塞化が進行している。
(黒島安央・ライター)