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「安保法制」はおかしいです。(1)

2015年6月29日12:37PM

うざわ よしふみ・元自衛官。1988年生まれ、27歳。2013年春にシリアへ行き、数ヶ月間イスラム兵士として戦った経験がある。

うざわ よしふみ・元自衛官。1988年生まれ、27歳。2013年春にシリアへ行き、数ヶ月間イスラム兵士として戦った経験がある。

いまの国会での「安保法制」に関する安倍晋三首相や中谷元防衛大臣などの発言を聞いていると、現場をまったく知らない人たちなのだなとつくづく感じます。

安倍首相は5月27日、「指揮官の正しい判断で、危険な状況になる前に柔軟に(自衛隊の活動場所を)移すことができる」と発言しました。ですがシリアでは2012年、フリージャーナリストの山本美香氏が「政府軍はここから遠いから安全だ」と言われていた場所で殺害されました。戦場では目紛しく状況が変化していくため、危険な状況になる前に移動することなどまず不可能です。動きの取りづらい大人数の部隊であれば尚更でしょう。

中谷防衛大臣は6月1日、「自衛隊は相手を識別して武器使用するための訓練や、地元住民と友好関係をつくる訓練を行なっている。一般の現地住民に危害を加える事態は極めて想定しにくい」と言っていますが、実際はまったく正反対です。現代は非対称戦。軍隊対軍隊ではなく、軍隊対ゲリラという構造が多いのです。相手は民間人に紛れ込んで攻撃してくるので、服装での見分けがつきません。

07年7月にイラクで、米軍が記者の持っていたカメラを銃と誤認して射殺したこともありました。いつ、どこで、誰が、どうやって攻撃してくるかわからないのが現代の戦争です。そうした高い緊張状況下では民間人の誤射は往々にして起こり得ると考えるべきです。ほかにも実際の現場に沿っていない発言は山ほどあります。こんな想定しかできない状態で集団的自衛権を行使すれば、最悪な結末が待っていることは目に見えています。

(鵜澤佳史、まとめ/渡部睦美・編集部、6月19日号)

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