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原子力規制委が九電の保安規定承認――川内原発は「二枚舌」審査

2015年7月1日11:26AM

噴火予測を前提とした九電の判断基準がそのまま社内規定文書に。(撮影/阪上武)

噴火予測を前提とした九電の判断基準がそのまま社内規定文書に。(撮影/阪上武)

鹿児島県口永良部島・新岳の噴火2日前の5月27日、原子力規制委員会は、九州電力川内原子力発電所の保安規定の審査を終え、火山活動のモニタリング(監視)を含む保安規定変更申請を了承した。

審査基準である火山影響評価ガイド(火山ガイド)は、核燃料搬出の余裕をもって巨大噴火の予測を行なうことを要求している。しかし、審査から締め出された形の火山学者から、巨大噴火の予測はできないとの指摘が相次ぎ、規制委は昨年6月に、「巨大噴火の予測は困難」と認めざるをえなかった。

規制委はそれでも、火山ガイドの改訂は行なわず、代わりに監視の方法と前兆の対応について規制委側の対応方針を検討するとし、火山学者を集め、昨年8月に火山活動のモニタリングに関する検討チームを設置した。

検討チームは、九電側の対応方針にかかわる川内原発の審査とは別との位置づけだったが、内実は、既存の観測データの監視だけで巨大噴火の数十年前に予測は可能だとする九電の川内原発における対応方針への批判が噴出した。

規制委は、規制委側の対応方針について、検討チームでの議論を「基本的考え方」にまとめたが、「空振り覚悟で対処させる」と大みえを切るだけで、監視の方法についても、原子炉停止指示の判断基準についても決められず、今後の課題としている。

その一方で、九電の火山審査は、火山ガイドに従い、火山学者抜きで密室で粛々と行なわれていた。今回、保安規定及び社内規定に記されたのは、既存の観測データの監視と数十年前に予測ができることを前提とした判断基準であり、火山学者が散々批判した内容そのままだ。核燃料搬出計画に至っては、前兆が出てからでよいという。

表向きは火山学者に同調しながら、裏で真逆の審査を通す二枚舌。直ちに審査合格を取り消すべきだ。

(阪上武・原子力規制監視市民の会、6月19日号)

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