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山崎博昭さん追悼講演会――命がけの闘いが必要

2015年7月3日6:05PM

「3・11以降の『いのち』の問題」をテーマに講演する白井聡さん。(撮影/赤岩友香)

「3・11以降の『いのち』の問題」をテーマに講演する白井聡さん。(撮影/赤岩友香)

「命を守らない政府と闘うのは命がけ。命を粗末にしない死にものぐるいの闘いが必要だ」

こう語るのは社会思想史家・政治学者の白井聡さん。「10・8山崎博昭プロジェクト」が主催する第二回講演会「いのちを考える ―戦後を生きて―」が6月13日、東京・学士会館で行なわれた。「10・8山崎博昭プロジェクト」とは、ベトナム戦争に反対する学生たちが佐藤栄作首相(当時)の南ベトナム訪問を阻止するため闘った羽田闘争(1967年10月8日)で亡くなった山崎さんを追悼するプロジェクト。発起人には山崎さんの兄・山崎建夫さん、科学史家の山本義隆さん、社会学者の上野千鶴子さんらが名前を連ねている。今回の講演会には環境哲学者の最首悟さんと白井さんが登壇した。

安倍政権が安全保障関連法案で集団的自衛権行使の「根拠」を、1959年の砂川判決(最高裁判決)に拠っていることについて最首さんは、砂川判決をひもといていけば「日本が独立国ではないことがわかってしまう」と指摘。同判決を歪曲したまま、安保法制は絶対に通せないと主張した。

白井さんは、「太平洋戦争で戦死した日本人は約300万人いるが、そのうち200万人が戦争の最後の年に亡くなった。軍事的には何の意味もない犬死にだった」と発言。日本が戦争の「落とし前」を国内ですらつけられていないのに、国外でつけられるわけがないと批判した。一方、3・11後、戦後民主主義などの無力さが提示され、今またそれらの価値観を主張しても「大衆の心をつかめない」とした。

講演会の終わりに、同プロジェクトの発起人の一人である作家・三田誠広さんは「後世から見て今が『戦前』と言われないように何かしなければいけない」と語った。「(このままでは)樺美智子さんや山崎さんが浮かばれない」(最首さん)。これ以上、命を粗末にされないために何が必要か問われている。

(赤岩友香・編集部、6月19日号)

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