マイナンバー、10月施行を前に広がる不安と疑問――地方議会・議員から異論続出
2015年7月30日7:05PM
日本年金機構の個人情報流出を受けて、全国の地方議員100人が7月6日、共通番号(マイナンバー)制度の施行延期を求める共同アピールを発表した。これとは別に制度の中止を求める意見書を可決する市議会が出るなど、10月からの個人番号通知を控え、実務を担う自治体の周囲で不安と疑問を訴える動きが広がりつつある。
共同アピールに名を連ねたのは、主に首都圏と関西の「市民派」の県議・市区町村議で、元職も含む。女性が3分の2を占める。
アピールは「共通番号制は年金機構以上に個人情報流出の可能性がある危険な制度」と強調。自治体の導入準備が遅れていることにも触れ、番号通知などのスケジュールを全面的に見直すよう求めた。また、預貯金や健診情報への利用拡大法案(参院で審議中)を廃案にするよう国会に要請した。
アピール発表に参加した議員からは問題点の指摘が相次いだ。
「住所がない人やDV被害者に個人番号をどう通知するのか、質問に市はきちんと答えられない」
「市民に6%余しか普及していない住基カードでさえ、偽造やなりすましが2件起きている」
「市の財政負担がどのくらいになるのか見えない」
一方、京都府長岡京市議会は6月23日に「『共通番号制(マイナンバー)』法の中止を求める意見書」を可決した。情報流出の危険のほか、中小・零細事業者のシステム変更・情報管理の費用負担が大きいことを理由に挙げており、公明も賛成した。愛知県豊明市議会も「慎重に対応することを求める意見書」を6月29日に可決した。
共同アピールを仕掛けた「共通番号いらないネット」世話人の白石孝さんによると、複数の首長からも施行延期を訴えたいと相談が寄せられているという。今後、地方議員と共に街頭キャンペーンなどで市民へのPRを強め、「延期」の機運を盛り上げていく構えだ。
(小石勝朗・ジャーナリスト、7月17日号)