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一晩で「脱ダム」から「ダム推進」に変わる無節操――武藤議員の地元で落選運動

2015年9月2日11:02AM

“安倍チルドレン”である武藤貴也議員の地元、滋賀県で始まった落選運動。(撮影/横田一)

“安倍チルドレン”である武藤貴也議員の地元、滋賀県で始まった落選運動。(撮影/横田一)

「『だって戦争に行きたくないじゃん』という自分中心、極端な利己的考えに基づく」とSEALDsを批判した“安倍チルドレン”の武藤貴也衆院議員(滋賀4区)の落選運動が地元で始まった。

8月8日、選挙区内の近江八幡駅で約20人が「あなたこそ戦場に行け!」「憲法を否定する武藤議員は辞職を!」などと書いたプラカードを持ち、リレートーク。呼びかけ人は全国の市民参加型選挙を手伝う山本あつし武蔵野市議(58歳)で、こう切り出した。

「『安保法制に賛成した国会議員を来年の参院選と次回の衆院選挙で落選させることが効果的』と考えていた時に武藤議員の投稿を知り、地元での落選運動を呼びかけました。戦前、『非国民』『国賊』という言葉が横行しましたが、政権与党に属している現職の国会議員がこういうレッテル貼りをするのは問題。今日が落選運動の出発点で、できるだけ大きく全国に広げていきたい」

滋賀4区の有権者の女性もマイクを握り、「武藤議員は北海道の人です。今すぐ辞職して北海道に帰って下さい」と訴えると、地元在住の男性も「武藤議員を国会議員に選んだのは滋賀県民の不徳の致すところ。今後、武藤議員のような人間を当選させてはならない」と続いた。

滋賀県大津市の石山駅でも同日、戦争法案反対集会が開かれ、主催者の「しーこぷ。」(Shiga・滋賀、Constitution・憲法、Peace・平和、の略)を代表して滋賀大2年生の奥正行さんが武藤議員を批判した。

「(投稿を)未だに反省も撤回もしようとしない態度には満身の怒りが込み上がります。この発言は県民の声を代弁したものではありません。そんなに戦争に行きたければ、武藤議員自身が行けばいい」

7月18日付『朝日新聞』投書欄に「学生デモ 特攻の無念重ね涙」を投稿した京都市の加藤敦美氏(86歳)も、呆れていた。

「特攻隊を目指す元予科練(海軍飛行予科練習生)だった私は若者のデモを知った時、特攻で死んでいった先輩や同輩に『今こそ俺たちは生き返ったぞ』と泣き叫びました。学生さんのようにわれわれは生きていたかったのです。小学校の時から武藤議員のようなことを散々言われました。『自分のことを主に考える奴は利己主義、国に背く非国民だ』と。『おまえらの命をよこせ。嫌とは言わせないぞ』という意味としか取れませんが、『日本がここまできてしまったのか』との危機感も抱きました」

世代を超えて批判が噴出する武藤議員だが、地元では「無節操」「社会人失格の遅刻常習犯」「核武装論者」で知られる議員だった。

【「子どもっぽい」核武装論者】

国会議員になる前の2007年秋から武藤氏は、脱ダムや卒原発で有名な嘉田由紀子・前滋賀県知事を支持する県議会会派のスタッフをしていた。ダム中止を訴える質問内容を作成する仕事などをしていたが、09年4月に滋賀4区の自民党公募候補になった途端、考えを変えてしまったという。嘉田氏はこう振り返る。

「県議会でダム論議が盛んだった時には『知事、ぶれるな!』というほど脱ダム派だったのに、09年4月、『僕は自民党の候補者になります』と言って、一晩でダム反対からダム推進に変わりました。節度のなさにみんな呆れましたが、私が『それでいいの』と聞くと、『自民党と嘉田知事を調整する役をやります』と生意気なことを言っていました」

遅刻の常習犯で、1時間遅れるのは普通だったという。「遅刻しても謝らない。子どもっぽいというか、社会人としての基礎ができていませんでした」(嘉田氏)。

この「子どもっぽい」議員は当選2回の麻生派。月刊誌や演説では「日本は自力で国を守れるように自主核武装を急ぐべき」(『月刊日本』14年5月号)と核武装を唱えている。

落選運動が広がればこんな社会人失格議員の多くが落選し、政権交代を後押しするだろう。

(横田一・ジャーナリスト、8月21日号)

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