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「安保法制」はおかしいです。(10)

2015年9月7日11:01AM

戦後70周年もあってか、介護の訪問先で戦争の話を聞く。

「海では兵隊さんだけでなく、兵隊さんを運んでいた船員さんもたくさん亡くなったんだ」とか、「自分は疎開していたけれど、学童の年齢に達しなかった妹は母と一緒に空襲を逃げたんだ」とか。

子どもの頃、祖父母からも空襲や疎開、勤労動員の話を聞くことがあった。酔った祖父は時々、腕を横に伸ばし、怖い顔をして、アメリカの戦闘機の真似をしていた。

夏にはテレビや新聞が戦争についてもう少し教えてくれた。中国残留孤児の人々がテレビを通じて家族を探しているのも見た。731部隊は本で知った。『そして、トンキーもしんだ』、『火垂るの墓』、『はだしのゲン』、『極光のかげに』など、さまざまな媒体を通して戦争を追体験した。沖縄を旅すれば、美しい海とともに、戦跡や広大な米軍基地を知った。

加害者にならない、被害者にならない。戦争につながる武力は避ける。

戦争を体験した人たちが、唯一みつけた答えが今の憲法だ。自衛のための戦力も持たない、というのが、本来の憲法の答えではないかと私は思うけれど。

とにかく、集団的自衛権はとんでもない。特に、自分たちを正義とし戦争を仕掛け、結婚式まで誤爆して平気な顔をしている国と軍事的にお友達だと思われたらあぶない。そんなことに自衛隊員の命をかけていただくわけにはいかない。

安倍首相は責任感が強いようだ。「一緒に戦え」と誘われたら「憲法はこうなっています、戦争はできません」と断ってほしい。それこそが日本の首相のもつ責任だと思う。首相にそう言わせるかどうかは、国民の一人である私にも責任があるだろうと思う。

(川原理子、8月28日号)

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