安倍総裁の再選で「一強独裁」加速――橋下徹氏には大臣ポスト打診
2015年9月30日10:20AM
菅義偉官房長官が橋下徹大阪市長に対し、10月に予定される内閣改造・自民党役員人事で地方創生担当大臣のポストを打診していると、自民党関係者が証言した。
橋下氏は先月末、松井一郎大阪府知事とともに維新の党を離党したばかり。松井氏は11月の大阪府知事選の立候補を表明しているが、橋下氏は5月の大阪都構想が住民投票で否決された直後に「政界引退」を表明したものの、その後の記者会見などで記者団に“進路”を問われると曖昧な回答に終始している。
戦争法案への反発から来年7月の参院選では自民・公明の過半数獲得が厳しいと言われる中、官邸内では「自民・公明+橋下新党」という新しい政権構想が浮上している。しかし、自民党も一枚岩ではない。自民党大阪府連リーダーである柳本卓治参院議員(二階派)は大阪都構想に反対の立場であり、大阪市議の甥が、11月の大阪市長選に出馬するという観測が出ている。党大阪府連はあくまでも「反橋下」なのだ。
一方、地方創生担当大臣のポストを剥ぎ取られる可能性が出て来たのは、首相最大のライバルとされる石破茂氏だ。橋下氏への地方創生大臣への打診は、裏をかえせば官邸の“石破切り”でもある。
8日に告示された自民党総裁選は、野田聖子衆院議員が当日朝8時に記者会見を開き、立候補に必要な推薦人20人を集めることができなかったと出馬断念を表明。安倍(晋三)総裁の再選が決まった。
野田氏については「安倍一強」の自民党に危機感を抱く古賀誠元幹事長が出馬を強く働きかけていた。4日には尾辻秀久元参院副議長が野田氏の推薦人になることを表明し、本誌も4日の段階では野田氏が推薦人20人を確保するに至ったとの情報を得ていた。石破氏が野田氏の支援にまわることも想定した安倍官邸の“切り崩し”工作が奏功した格好と言える。
(野中大樹・編集部、9月11日号)