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背景には『読売新聞』と自民党か――改革派経産官僚に左遷人事

2015年10月6日10:10AM

高齢者や認知症患者などの被害が絶えない訪問販売に一定の制限をかけることを検討していた消費者庁の担当者が、8月の人事で相次いで異動となった。本誌が本年6月19日号「訪問販売苦情トップの『読売』」と7月10日号「自民・読売のお笑い二人羽織」で報じたように、訪問販売を規制する特定商取引法の改正には読売新聞社(山口寿一社長)と自民党が猛反発していた。

特商法改正の審議に関与していた官僚で、今回異動となったのは消費者庁審議官だった服部高明氏(金融庁参事官へ)、そして同庁取引対策課長の山田正人氏(関東経済産業局地域経済部長へ)だ。とりわけ山田氏に対する風当たりは強く、『FACTA』(2015年7月号)では、「イクメン課長が『消費者庁暴走』の元凶」という記事で、顔写真入りで批判された。霞ヶ関関係者はこう話す。

「経産官僚でありながら核燃料サイクル政策に疑問を呈したり、みずから育休をとったりと、山田氏は改革派官僚として知られた人物。横浜市副市長として保育所待機児童ゼロを実現したことでも有名です。去年から出向していた消費者庁では訪問販売規制に取り組み、読売と自民党の標的になっていました。6月頃、経産省幹部が『山田は読売とケンカしているのか』と驚くなど、経産省内では大騒ぎになっていたそうです」

山田氏は1991年に経済産業省入省。2002年に原子力政策課の課長補佐に就任すると、匿名で「19兆円の請求書―止まらない核燃料サイクル―」と題する文書を作成したと言われる。

山田氏の地方局への異動について、消費者団体や消費者保護を専門とする弁護士の間では「読売と自民党が霞ヶ関の人事に口を出したのではないか」という疑念が広がっており、8月31日、消費者団体から山口俊一内閣府特命担当大臣に抗議書も提出されている。

(野中大樹・編集部、9月18日号)

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