辺野古建設に伴う埋め立て承認の取り消しめぐり――沖縄県と政府、全面対決へ
2015年10月14日6:42PM
沖縄県と政府との集中協議決裂(9月7日)後の12日、沖縄防衛局は辺野古新基地建設の工事を再開した。これに対し二日後の14日、沖縄県の翁長雄志知事は県庁で記者会見し、名護市辺野古の米軍新基地建設に伴う埋め立て承認を取り消す手続きに入ったことを表明した。県は、埋め立て承認の法律的な瑕疵を検証する第三者委員会の検証結果報告を受け、埋め立て承認には取り消されるべき瑕疵があると判断。行政手続きで沖縄防衛局から意見聴取する考えを示していた。
対する沖縄防衛局は、三日後の17日、沖縄県に対し「意見聴取」に応じる考えはないことを明記した回答の公文書を届けた。この文書には「何ら瑕疵はなく、これを取り消すことは違法と思料しております」と記されていた。
埋め立て承認取り消しに先立ち、翁長知事は日本の都道府県知事で初めてスイス・ジュネーブで開かれた国連人権理事会(21日、22日)に出席し本会議場で声明を発表した。知事は「戦後70年間、アメリカ軍基地は沖縄で多くの事件事故や環境問題を引き起こしている。我々の自己決定権と人権がないがしろにされている」と英語で約2分間、県民の思いと民意を代弁し演説した。
演説後、記者会見した知事は「日米両政府という大きな権力のなかで、小さな沖縄県が理不尽な状況を強いられている。私たちの持てる力で、正当な権利や正義を訴える」と語った。帰国直後の24日午後、日本外国特派員協会でも記者会見し、国際世論に現状を訴えた。
28日、翁長知事は予定通り意見聴取を実施したが、国は行政手続法の「聴聞」を要求。これを10月7日に実施した後、承認取り消しに踏み切る考えだ。
沖縄県と政府は、辺野古新基地建設をめぐって出口の見えない法廷での全面対決が間近い。
(本誌取材班、10月2日号)