ヘイト・スピーチ条例案継続審議の大阪市議会へ――即時制定求めて集会と要請文
2015年10月28日3:24PM
ヘイト・スピーチ(差別煽動表現)対策の条例化をめざす大阪市の条例案が市議会で継続審議になっているのに対し、条例の「即時制定」を求める集会が10月6日、大阪市北区の公園で開かれた。
市民による条例案を提案している多民族共生人権教育センター、部落解放同盟大阪府連など約30団体がつくる実行委員会の主催。約250人の参加者らが集会後に大阪市役所まで繁華街をパレードし、「ヘイト・スピーチを許すな」と訴えた。
大阪市の条例案は、学者などで構成する審査会が被害者の申し立てによって調査し、ヘイト・スピーチと認定すれば行為者の団体名や個人名を公表することで抑止を図ろうとする。被害者の訴訟費用を支援するなどして処罰は司法判断にまかせ、条例としての処罰規定は設けていない。条例案は今年5月に市議会に提案されたが、「表現の自由との調整が難しい」などの意見が出て6月市議会で継続審議になった。
この日の集会は、開会中の9月市議会での条例案審議に向けて開催され、集会参加者らはパレードのあと市議会の「維新の会」、自民、公明、共産、「みらい」の各派代表者に次のような要請文を手渡した。
(1)深刻な人権侵害が放置されており、一刻も早く条例の制定を願う。
(2)ヘイト・スピーチは許されないという社会規範を示す自治体の姿勢を明確にするためヘイト・スピーチ禁止条項を付け加える。
(3)在日コリアンだけでなく様々な被差別少数者へのヘイト・スピーチも抑止できる条例にする。
多民族共生人権教育センターの文公輝事務局次長は「各派の代表者の意見を聞くと、ヘイト・スピーチは表現の自由の範囲を超えており抑止が必要だという認識でほぼ一致しているようだ。前向きに進めていくことを期待したい」と話す。
(平野次郎・フリーライター、10月16日号)