東京高裁の判決と仮執行宣言で――緊迫の経産省前テントひろば
2015年11月24日12:52PM
脱原発の象徴で運動の拠点になっている「経産省前テントひろば」が緊張状態にある。2011年9月から経済産業省前にテントを張って反原発運動を続けている淵上太郎氏と正清太一氏に対して、土地の明け渡しと損害賠償を求めて国が訴えた裁判で、東京高裁は10月26日控訴を棄却した。
高野伸裁判長は、テントを撤去し、1日当たり2万1917円(約3300万円)を支払え、という判決を言い渡し、仮執行宣言も出した。被告らは、上告と同時に仮執行停止の申立てをしたが、仮執行停止はただちに却下された。したがって、いつテントが撤去されるか予断を許さない状況だ。
同月29日には、テントひろば現地で被告や支援者らが記者会見を開催、代理人のひとり大口昭彦弁護士は、「これは市民を黙らせるためのスラップ(口封じ)訴訟、司法の悪用です」と断じた。
この判決に勢いを得たかのように、判決当日には、愛媛県の中村時広知事が伊方原発3号機再稼働の同意を表明している。政府をはじめ、原発推進勢力としては、川内原発の再稼働に続き、伊方原発3号機、高浜原発3・4号機再稼働を是が非でも実現させたい。これらを強行するためにも、テントひろばを潰したい、というところだろう。
英国国会議事堂前の広場で長期間にわたりテント生活をしながら反戦を訴え、あの手この手で警察とわたりあっていた人物の記録映画『ブライアンと仲間たち パーラメント・スクエアSW1』を製作した映画監督の早川由美子さんは、「終電の後や休日が危ない。撮影・取材できる人が交代で監視したほうがいいと思います」と、自身も経産省前テントに泊まる。
プロの取材者に限らず、多くの人が、スマホなど撮影機材を常時携帯して、可能な限り現地に赴く必要があるだろう。市民による監視がキーになる。
(林克明・ジャーナリスト、11月13日号)