「虹の戦士号」辺野古沖寄港を却下した日本政府――反対運動への注目恐れる
2015年11月26日7:58PM
国際環境NGOグリーンピースの船「虹の戦士号」が申請していた、沖縄県名護市辺野古沖への寄港申請について、国の沖縄総合事務局は4日までに却下した。
米海兵隊新基地の建設作業に対する反対運動が国際的な注目を集めることへ、国が異常に神経をとがらせている様子が浮き彫りとなった。
外国船籍の同船は、開港されている港以外の場所に寄港する際には国の許可が必要。グリーンピース・ジャパンは10月28日に申請書を提出しており、1週間も待たされた挙句に却下された形だ。
グリーンピース・ジャパンで広報担当の土屋亜紀子氏は「通常は1~2日で許可が出る。虹の戦士号が2005年と07年に辺野古沖へ寄港した際には、即日で許可が出た」と話す。同船は辺野古沖で、工事にともなう制限区域の外側に停泊する計画だった。同NGOで海洋生態系問題を担当する小笠原和恵氏は「調査ではなく、辺野古に世界の注目を集めるのが目的だ」と説明した。
沖縄総合事務局は4日、決定前の時点で取材に「国交省と調整中」と述べ、今回の申請が「本省扱い」であることを示唆していた。
国は却下の理由として「同海域に混乱が生じやすくなるため、安全確保ができない」と説明。これを受けて6日、那覇新港に停泊する「虹の戦士号」で会見が開かれた。マイク・フィンケン船長は「安全上の支障はない。却下は別の理由によるものだ」と日本政府を批判した。グリーンピース・ジャパンの佐藤潤一事務局長も「詳細な情報を事前に海上保安庁に提供していた。全ての行動が危険に値しないことは海保が一番知っているはずだ」と述べた。
却下を受けてNGOは6日、国に不服審査請求を行なった。一方、名護漁港沖への寄港は9日に許可。滞在期限を見越した国の「時間稼ぎ」に対し、船は台湾への出発を遅らせて名護港へ向かう。
(斉藤円華・ジャーナリスト、11月13日号)