採用と引き替えに性的関係を強要──トヨタ系列企業幹部による就活女子大生セクハラ事件(成田俊一、その1)
2015年11月30日6:08PM
「女性の活躍」を高らかに掲げる安倍政権だが、その下半身はいかほどだろうか。アベノミクスをはじめ安倍政権の経済政策をリードする「世界のトヨタ自動車」の系列企業幹部が、就職活動中の女子大生に卑劣な行為をおこなっていた事実が発覚した。
※本記事で取り上げた豊田理彰氏が社内処分を受け、退職したことが明らかになったため、記事を緊急配信する。
昨今、学生の就職活動で問題になっているのがオワハラだ。企業が、内定を出すことと引きかえに他の企業への就職活動を終われと迫る「オワラセル+ハラスメント」のこと。学生にとって就活は社会人になるための大事な一歩なのに、企業のオワハラ行為が学生たちの自由な就活の権利を奪うものとして社会問題化してきた。
本稿で取り上げるのは、採用権を持つ企業によるオワハラ問題を通り越す大事件だ。就活学生の名誉と尊厳を踏みにじっただけではなく、内定を切望する学生の心理を逆手にとった、きわめて悪質な企業採用の実態である。
その企業とは、トヨタ自動車系アイシングループで、愛知県安城市に本社を置くアイシン・エィ・ダブリュ株式会社(川本睦社長。以下、アイシンAW)だ。世界シェア1位の車の変速機などの製造で年間売上高は1兆円(連結)を超える大手自動車部品メーカーだ。そのアイシンAWで参与と製造本部副本部長の肩書を持つ豊田理彰(とよだまさてる)氏が、今回の事件の当事者だ。被害者は名古屋市内の某女子大学4年生のA子さんである。
(なりたしゅんいち・ジャーナリスト。11月6日号=肩書き等は掲載当時、つづく)