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日大名誉教授、山口組元大物幹部からの借金騒動――ならば白石議員らも大問題だ
2015年11月30日5:17PM
先週、日本大学の山岡永知名誉教授(77歳)が10年前に山口組の元組長から2000万円の借金をしていたことがメディアを騒がした。報道によれば教授の大学院の授業はすでに休講しており大学側は解雇を検討しているという。
金の貸し借りは民民の案件だが、相手が山口組元幹部であることから大学やメディアは問題視したわけだろう。だとすれば小誌が本件で問いたいのは名誉教授ではなく、火の粉が飛ぶことを息を潜めて怯えているだろう二人についてだ。自民党衆院議員と日本オリンピック委員会(JOC)の元「関係者」で三菱商事元社員である。
さてまず騒動の相手方の山口組元幹部はだれかといえば大石誉夫氏である。大石氏は経済ヤクザで知られ山口組で顧問まで務めたその筋の大物。2012年に引退後は現役時代の“投資”を回収するためか、民事訴訟を次々に起こしている。小誌も昨年9月にリクルートに対する訴訟を報じ、今年は8月7日号で報じた。
〈自民党代議士に民族派がぶちきれた 戦争法案強行採決の白石議員〉と題する前出の記事では、第三次安倍改造内閣で環境相政務官に就任した自民党麻生派(為公会)の白石徹衆議院議員(愛媛三区)が「X親分」こと大石氏と昨年5月に二人きりで赤坂の料理屋で会食していたことを指摘した(掲載時に白石議員側は取材を拒否)。現職議員がのこのことでかけた背景には愛媛県で経営する建設会社白石建設工業に大石氏が協力していたからだという。両者を知る愛媛県出身の民族団体「国防同士社」の代表、高橋斗志夫氏は次のように証言する。
「白石議員が白石建設の社長時代から大石さんと付き合いが始まり、以後続いてきたわけです」
実は今回の山岡名誉教授を大石氏に紹介したのは高橋氏だと言う。
「紹介はしたが、山岡さんがその後にカネを借りていたことは最近知った。この件では1カ月ほど前にもテレビ局記者から取材を受けました。日大やJOC(日本オリンピック委員会)の問題を調べていると言うから協力したのになぜか山岡さんしか報道されていないのはおかしい」
【JOC関係者も同席か】
そもそも山岡氏の名前が浮上した契機は大石氏が2013年にある男性に民事訴訟を起こした際に、山岡氏が陳述書を提出したためだ。その裁判では同じく陳述書を出した人物がいる。三菱商事元社員で公益社団法人日本トライアスロン連合(JTU)の元顧問、金子清志氏だ。トライアスロンは2020年東京五輪の種目の一つ。金子氏は、「私と大石さんとは平成17年頃、三菱商事の先輩であり上司であった飯山勝也氏に紹介されて知り合い、それ以来、お付き合いしています」と陳述。しかし金子氏は今年6月にJTUを離職(JTUは「ご本人だと特定できない」と回答)。このためか、そのほかの元組長交際報道は11月10日に『毎日新聞』が「JOC関係者も同席か」と報じた程度だ。しかしながらヤクザのネットワークが広く深いことがうかがわれる。
ある政界通はこう話す。
「山岡名誉教授どころではない。日本大学にはもっとヤクザとずぶずぶのおエライさんがいる。でも、ある警察幹部によると、日本大学は警察の天下りを恒常的に受け入れる体制をつくったので捜査の手が伸びることはないそうです」
天下り先とは、日本大学が来年4月に新しく学生150人規模の「危機管理学部」を開設することを指すという。同学部の公式サイトを見ると、実務経験がある教員5人の中に「茂田忠良教授〈インテリジェンス論〉元埼玉県警察本部長」が含まれている。警察本部長とは、言うまでもなくキャリア警察官僚がつくポストである。
そういえば先の白石建設工業も、経営経験のない愛媛県警の元署長を昨年まで社長に据えていた。元署長は現在も顧問だという。警察OBを雇用する企業や学校は過去にうしろめたいことがあると考えるのが世間の常識ではないだろうか。誌面は尽きたが、引き続き調査を続けていく。
(本誌取材班、11月20日号)
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