日本に生きる難民写真展開催――排除せず助け合う社会を
2015年12月9日12:22PM
日本に住む難民を撮り続けて11年の織田朝日さんが、東京都内で写真展を開く。「彼らの素顔、なまの姿を知ってほしい」と開催を決めた。紛争や内戦、環境異変により日本に逃れてきた、クルドやイラン、スリランカなどの難民の写真が40点ほど展示される。
「もう生きていたって明日はない。死なせてほしい」。国連大学(東京・渋谷)前で座り込みをする16歳のクルド人少女の言葉が、織田さんの胸を突いた。2004年夏、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)がある国連大学前では、クルド人2家族が難民認定を求め座り込みを続けていた。知人に誘われ足を運び始めた織田さんは、彼らの姿を記録しようと写真を撮り始めた。猛暑の中、段ボールを敷いて寝る過酷な生活。国連大学が呼んだ警察に排除されそうになり、彼らが抗議でガソリンをかぶって自死を図る場面もあった。
織田さんはこう話す。「彼らをここまで追い込んだことに衝撃を受けました。それなのに、心ない人は“ニセ難民”と非難したりした。日本人の難民に対する理解度の低さは、変わってないと思います」。
日本の昨年の難民認定数は、申請者5000人中、わずか11人。認定を求める仮放免という不安定な立場に何年も置かれる人々も多い。収容所に収容されることへの不安がつきまとい、保険に入れず、働けない人もいる。「弱い立場の難民を排除しても幸せな社会は生まれない。新たな排除が生まれるだけ。互いに助け合う社会が必要」と織田さんは語気を強める。「何かできることをしたい」と、これまでも難民の話を聞く会やクリスマスパーティーなどを開いてきた。
写真展「日本に生きる難民たち~11年の記録~」は、東京・中野の“meee” Gallery Tokyoにて11月27日から12月2日まで開催された。問い合わせはMail freeasahi2004@yahoo.co.jpまで。
(渡部睦美・編集部、11月27日号)