設置許可の取消しへ提訴――もんじゅ廃炉へ短期決戦
2016年1月6日2:18PM
高速増殖炉もんじゅの設置許可の取消しを原子力規制委員会に求める訴訟が12月25日にも起こされる。原告はもんじゅから半径250キロメートル圏内の住民。もんじゅのナトリウム漏れ事故から20年を迎える12月8日、訴訟弁護団の河合弘之弁護士、海渡雄一弁護士らが司法記者クラブ(東京都千代田区)で会見した。
トラブルや不祥事が相次ぎ長期停止中のもんじゅをめぐり、規制委は11月13日、所管する日本原子力研究開発機構に代わる新たな運営主体を半年以内に選定するよう文部科学大臣に勧告している。提訴は「崖っぷち」のもんじゅを廃炉に追い込むのが狙いだ。
提訴の背景について河合氏は「ナトリウム漏れ事故当時、もんじゅを所管していた動燃(動力炉・核燃料開発事業団)は核燃料サイクル開発機構に名前を変えて生き延びた。原子力ムラのしたたかさを考えれば、今回の勧告を受けても同様の『ズル』、または抜本的対策をしたと『強弁』することが十分に考えられる」と述べた。
機構と文科省は、2012年11月に発覚した9000カ所以上の機器点検漏れをはじめ、様々な保守上のトラブルについて規制委から再三にわたり是正措置を求められていた。しかし改善は見られなかったため、勧告で「組織自体がもんじゅに係る保安上の措置を適正かつ確実に行う能力を有していない」と機構を断じている。
もんじゅの設置許可取消しを求める訴訟は今回で二度目。前回は2005年5月の最高裁判決で敗訴している。
海渡氏は「運営主体に技術能力があることが設置許可の要件だが、機構はそれを満たしていない。勧告に示された事実認識に従えば、許可を取り消すのが行政当局である規制委の任務であり、非常に単純明快な訴訟だ」と説明。その上で「短期決戦で必ず勝訴したい」と語った。
(斉藤円華・ジャーナリスト、12月18日号)