多様な教育法案の撤回を――「親の会」が議連に要望書
2016年1月21日9:53AM
不登校の子どもの教育支援を目的に議論されている「多様な教育機会確保法案」をめぐり、「不登校・ひきこもりを考える当事者と親の会ネットワーク」は昨年12月21日、法案の国会上程に反対する要望書を、超党派のフリースクール等議員連盟・立法チーム座長代理の笠浩史衆議院議員(民主党)に提出した。
要望書は、「いじめや体罰など不適切な指導で傷つき、家庭を唯一の居場所にする子どもと保護者に対し、教育委員会が直接介入し家庭を学校化する危険性がある法案に危機感を抱いている。不登校の子と親にさらに大きな圧力がかかることが懸念される。不登校の小中学生のうち、フリースクールなどに在籍するのは3・5%だ」と主張。法案を白紙に戻し、不登校で家庭にいる当事者・経験者・保護者らの意見を法案審議に反映してほしいと訴えている。
これに対し笠議員は「各党の手続きを終えているわけではなく、自民党内の議論も踏まえ、最大公約数の意見をもとに合意を得て国会に提出される。自民党が野党の理解なく押し切ることはないと思う」と説明し理解を求めた。
同議連は議員立法として、全会一致での法案成立を目指していたが、各会派や自民党からも異論が相次いだため、先の通常国会への法案提出を断念。意見調整した上で、今年の通常国会に超党派での法案提出を目指している。
要望書提出の翌22日には議連の合同総会が開かれ、馳浩衆議院議員の文部科学大臣就任で空席となっていた議連の立法チーム座長に、丹羽秀樹衆議院議員(自民党)が選任された。総会では親の会からの要望内容も報告されたが、新年に開会される通常国会での法案成立を目指す発言が相次いだ。
一方、自民党内で議論され、文科省の叩き台とされる修正案からは「多様な」の言葉が削除されていることが判明。関係者の間には波紋や困惑が広がっている。
(池添徳明・ジャーナリスト、1月8日号)