「辺野古の埋め立てには使わせない」――つながる全国の土砂採取地
2016年2月10日11:45AM
2013年、沖縄防衛局が沖縄県に提出した辺野古新基地建設の埋立申請書には、名護市辺野古沖を2100万立方メートル(10トンダンプの約350万台分)の土砂で埋め立てる計画が記載されていた。土砂の調達先として、沖縄県内に加え、九州では奄美大島・徳之島や天草など、瀬戸内では小豆島(香川県)や黒髪島(山口県)などが記されていた。
「辺野古の埋め立てをなんとか阻止するために、土砂が採掘される各地をつなごう」。そう考えたのは瀬戸内海の自然保護を訴え続けてきた「環瀬戸内海会議」共同代表の阿部悦子さん。以来、西日本の土砂採取の現場をめぐった。
鹿児島県の南大隅町では、美しい森林が土砂採取の現場。高レベル放射性廃棄物の最終処分場の建設計画も持ち上がっていた。
徳之島では、「この海を守るために、土砂採取は絶対にさせない」と力強く断言する漁業組合長と出会い、希望をもらったという。
そして15年5月には「『辺野古土砂搬出反対』全国連絡協議会」が結成された。
「土砂採取の現場は、いずれもすばらしい自然が残っています。しかし過疎が進み、地域は弱っている。そこを狙われるんです」
1月22日、環境団体FoE Japan主催で開催された集会で阿部悦子さんはこう訴えた。「埋め立て土砂は、採取場所の環境と辺野古の海の生態系を広い範囲で破壊します。さらに外来種への脅威も大きいのです」と日本自然保護協会の安部真理子さん。13年当時、埋め立て土砂の調達について、環境アセスを実施しないですむよう沖縄防衛局の資材調達検討委員会が協議していたことが報道された。非公開で、委員も匿名だった。
住民の手で地域の自然を守り地域の未来につなげていく。そんなあたり前の権利を勝ち取るため、各地がつながりつつある。
(満田夏花・FoE Japan、1月29日号)