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「憲法に緊急事態条項は必要か?」めぐりシンポ

2016年2月25日10:02AM

2月5日、東京・千代田区の会場は熱気に包まれた。左から長谷部恭男氏、石川健治氏。(写真/星徹)

2月5日、東京・千代田区の会場は熱気に包まれた。左から長谷部恭男氏、石川健治氏。(写真/星徹)

憲法・政治学者らでつくる「立憲デモクラシーの会」は2月5日、「憲法に緊急事態条項は必要か?」をテーマとするシンポジウムを東京都内で開催。会場は約500人で超満員となった。
安倍政治・自民党が狙う「なし崩し改憲」のパターンの一つが、大災害や外敵侵攻を想定した緊急事態条項の新設だ。
このことに関し、長谷部恭男早稲田大学教授(憲法学)は基調講演で、「災害対策基本法や有事法制などが既にある。もし新たな制度も必要だと言うのなら、国会で法律を作ればよいだけの話」とし、「改憲の必要はない」と断じた。衆議院の解散中に緊急事態が発生した場合でも、「憲法54条2項の規定に従い、参議院の緊急集会を求めればよい」と述べた。
それでも緊急事態条項を憲法に入れるなら、裁判所によるコントロールが必要不可欠で、「高度に政治的な問題には裁判所は口を出さない」とする統治行為論を封印することを憲法に書いておく必要がある、とした。そうなれば、裁判所は安保関連法の憲法判断も避けられなくなる。
基調講演後の長谷部氏との対論で、石川健治東京大学教授(憲法学)は、「緊急事態条項の新設は、戒厳(令)の問題にもつながり、戒厳は独裁への大きな一歩になりうる」とし、「この問題は『戦後レジーム』を破壊する流れの中にある」と警鐘を鳴らした。

(星徹・ルポライター、2月12日号)

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