国連女性差別撤廃委員会が勧告――「慰安婦」問題にも遺憾表明
2016年3月22日10:24AM
国連女性差別撤廃委員会は3月7日、2月16日に行なった第7・8回日本政府報告書審査の結果を評価した総括所見を公表した。
委員会は、2009年以降の日本政府の取り組みを評価する一方で、「慰安婦」問題や民法改正など57項目にわたる勧告を行なった。
委員会は、昨年末に日韓が合意した「慰安婦」問題について、2国間合意を注目しているとしつつ、人種差別撤廃委員会、自由権規約委員会、拷問禁止委員会、社会権規約委員会、国連人権理事会からも勧告されていることに言及した上で、日本政府がそれらの勧告を実施していないこと、条約批准の1985年より前に「慰安婦」問題が起きたことを理由に日本政府が委員会の権限外であると主張していることに遺憾の意を表明した。
また、公的立場にある者の「慰安婦」問題への発言、「最終的かつ不可逆的に解決した」とする合意が被害者中心のアプローチを十分に採用していないこと、被害者に対する国際法上の責務が果たされていないこと、教科書から「慰安婦」問題の記述が削除されたことなどに懸念を示し、日本政府に被害回復のための措置を行なうよう勧告した。
一方、フォローアップ(追加情報の提供)の対象としていた民法改正については、女性16歳、男性18歳とする性差別の婚姻最低年齢が維持されていること、昨年12月16日の最高裁判決を受けて再婚禁止期間を100日に短縮したが女性だけに再婚禁止期間が設けられていること、最高裁が夫婦同姓規定を合憲としたものの実際には多くの女性が夫の姓を名乗らざるをえないことに懸念を示し、前回勧告(女性を18歳とする婚姻最低年齢、選択的夫婦別姓導入、再婚禁止期間撤廃)を遅滞なく行なうよう勧告した。さらに、今回も民法改正をフォローアップの対象とし、2年以内に詳細な書面による情報を提供するよう求めた。
(坂本洋子・ジャーナリスト、3月11日号)