都立夜間高校廃止は「都民の損失」――反対請願は不採択に
2016年4月6日10:14AM
東京都教育委員会が、小山台(品川区)、雪谷(大田区)、江北(足立区)、立川(立川市)の4高校夜間定時制廃止を決めたことに対し、3月14日、「都立小山台高校定時制の存続を求める会」の卒業生や元同窓会長らが都庁で記者会見し、廃止反対を訴えた。
ビルマ(ミャンマー)、中国など外国から来た卒業生3人と日本人卒業生一人が、「小山台定時制は10カ国以上の外国からの生徒や全日制に通えなかった生徒が来ており、なくすと居場所がなくなる」「駅前の小山台しか通えなかった」「小山台だけでなくすべての定時制をなくさないでほしい」などと訴えた。都立高校定時制は、かつては100校以上あったが、現在は39校だ。
また、同校定時制同窓会元会長の永井寿雄さんは、「小山台は文部科学省と都の人権尊重教育推進校にも指定されており、閉校は都民の損失」と語った。このような「都民の財産」を失うことをどう思うか。翌15日の会見で舛添要一知事は、筆者の質問に「思い入れは分かるが、都全体の定時制の教育体制をどうするかの判断だ」と答えた。
都議会文教委員会には8本もの都立高校定時制廃止に反対する請願、陳情が提出され、3月16日に審査された。里吉ゆみ都議(共産党)は、「廃止するのがなぜこの4校なのか」と質問したが、中井敬三教育長は総括的な答弁で、「定時制の応募倍率は下がっており、チャレンジスクール(単位制・三部制)などは上がっている。都民のニーズとのアンマッチが4校廃止の前提」と述べるだけだった。採択に賛成は共産党、生活者ネットの二人、反対は自民、公明、民主、維新の11人で不採択になった。
小山台定時制の関係者は、「人権尊重教育推進校を廃校にするのは都は人権教育に後ろ向きと言わざるをえず、『人権尊重都市』と言っていることと矛盾します。存続を求める運動は続けます」と話した。
(永尾俊彦・ルポライター、3月25日号)