ヘイトデモ抗議中、警官に暴行されけがした女性らの告訴を受理
2016年4月16日4:25PM
4月15日。東京都の警視庁新宿警察署には、大勢の人々が集まっていた。3月27日、新宿区で在日コリアンを攻撃するヘイト・スピーチ(差別扇動表現)をする差別デモが行なわれた。その差別デモに対し職安通り周辺で抗議活動をした際に、警備の警察官から首を絞められるなどして怪我をした女性3人が氏名不詳の警察官を傷害罪で刑事告訴し、受理されたのだ。
告訴には50人程が同行し、民進党の有田芳生参議院議員、社民党の福島瑞穂参議院議員、共産党の池内さおり衆議院議員も駆け付けた。
新宿警察署は事件直後、女性の被害届を受理せず取り合わなかった。しかし、この事件は報道やインターネット上で話題となり、国会議員からの申し入れや、国会でも追求されたことで態度は急変したという。4月5日の参議院法務委員会で、警察組織のトップである河野太郎国家公安委員長は「警備に行きすぎた点があったとしたら、それは誠に申し訳ない」と謝罪するまでに至った。今回の被害女性たちによる刑事告訴を、反差別集団『男組』組長の高橋直輝氏(43歳)は、「超圧力だ」と語った。
今までも差別意識が根底にある犯罪(ヘイト・クライム)は数多く起こっていて、早急な対策が急がれている。3月20日には、神奈川県川崎市で人種差別団体の街頭演説会に抗議した40代男性が、警備をする警察官の目の前で演説会参加者に暴行をされる事件が起こっている。それにもかかわらず、犯人は現行犯逮捕されず、国会で追求された後の3月29日、いずれも右翼団体構成員の男3人が傷害容疑で逮捕されたのであった。30日には、さらに右翼団体構成員の男1人が逮捕されている。
ヘイト・スピーチをおこなうヘイト・デモ参加者を守り、差別反対の抗議をする人々を守らない警察のあり方は是正されて然るべきだ。現在、国会ではヘイト・スピーチを規制する法案を、野党に続き与党も提出し審議されている。
(山口祐二郎・フリーライター)