米軍キャンプ・シュワブ前で――目取真俊氏が不当逮捕
2016年4月20日10:05AM
4月1日、作家の目取真俊さんが米軍キャンプ・シュワブの軍警備員に拘束されたとのメールが友人から届いたのは、エイプリルフールの冗談ではなかった。
3月4日、安倍政権は沖縄県との「和解」を受け入れ、辺野古新基地建設工事を中断したにもかかわらず、新年度になっても辺野古・大浦湾の立入禁止区域を示すフロートは設置されたまま、3隻のクレーン付き大型作業台船もそのまま居座り、いつでも作業再開できるぞと言わんばかり。
カヌーチームの一員として活動する目取真さんはこの朝、いつものようにカヌーに乗って大浦湾の監視に出かけたところ、辺野古崎の岩場付近で米軍の警備員に基地の陸上部に引きずり込まれて拘束され、濡れたウェットスーツのまま8時間近くも米軍基地内に監禁された。彼の身柄引き取りを名護警察署と海上保安庁が押し付け合っていたとみられ、その間、弁護士を含め外部との連絡は一切途絶えたままだったという。「いったい今はいつの時代か!」と彼は憤る。
午後5時頃、刑事特別法違反の容疑で海上保安庁に引き渡された目取真さんを一刻も早く取り戻そうと、辺野古弁護団をはじめ海上・陸上の仲間たちが動き出した。
翌2日朝、キャンプ・シュワブゲート前には火を噴かんばかりの怒りの声が渦巻いた。その後、多くの人々はゲート前から、目取真さんが拘束されている中城海上保安部前へ移動。島の中南部から駆けつけた人々も含む250人以上が同保安部を囲み、午後7時半過ぎに処分保留で彼が釈放されるまで、歌やシュプレヒコールで激励を続けた。
「芥川賞作家」の不当逮捕は、米国の沖縄文学翻訳家S・ラブソン氏が「不正義に抗議する作家の行動」を支援する声明を出すなど内外に大きな反響を呼び、目取真さん自身も抗議行動の継続とともに、さまざまな場で発言、執筆していきたいと語っている。
(浦島悦子・フリーライター、4月8日号)