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告発者が暴力団にさらわれる可能性も――“身内”の飲酒運転、警視庁隠蔽か

2016年5月11日9:55AM

警視庁(高橋清孝警視総監)が、現役警部が起こした飲酒運転とそれにともなう事故を把握していながら調査を行なわず、隠蔽している疑いが出てきた。

飲酒運転事故を起こしたとされるのは警視庁滝野川署の元刑事組織犯罪対策課長、堀康彦氏。

堀氏について、東京都内の会社経営者S氏が語る。

「私は都内の土木工事などを請け負う会社を経営しているのですが、暴力団がからんだ談合がはびこっていて困っていました。それで私は知人に紹介してもらった堀警部に、談合の主犯は誰か、どういうやり口で談合が行なわれているのか、詳細な情報をリークしたのです。堀警部と相方のT警部は、私の情報をもとに摘発に成功し、大きな手柄をあげました」

2013年12月、東京都水道局発注工事をめぐって、警視庁組織犯罪対策4課などは住吉会系暴力団幹部を入札妨害容疑で逮捕している。この時の捜査の中心にいたのが堀氏と、堀氏の相方のT警部だった。

S氏が続ける。

「これで事件は解決したのですが、それから半年ほどたった14年5月のある日、堀警部が泣きながら私に電話してきたのです」

S氏によれば、堀警部は次のように語ったという。

「飲酒運転していたところ、民家に突っ込んでしまった。ブロック塀が崩れ、修理に200万円ほどかかる。示談したいので200万円を貸してもらえないだろうか」

後日、S氏は堀警部と会い、その場で、被害者の自宅に堀警部本人から電話をさせた。本当に事故があったのか確認するためだ。

「最初はちょっと疑わしかったのですが、電話でのやりとりを聞き、本当に事故が起きていたことを確認できたので私は200万円を貸すことにしました。返済期限を同年の12月25日とする借用書も作成したのです」(S氏)

ところが返済期限がきても、お金は返済されなかった。どうなっているのか問い合わせても誠意ある回答がかえってこない。業を煮やしたS氏は、堀警部の相方のT氏に事実関係を話した。T氏は驚き「わかった。上司に報告しておく」と話したという。T氏が本当に上司に報告したのであれば、警視庁は堀警部の借金未返済だけでなく、飲酒運転事故モミ消しの事実も把握したことになる。

小誌は別の警察関係者から「堀警部の失態の全容は本庁も把握している」という話を聞いている。

【「もう警察の人間ではない」】

ところが事態は思わぬ展開に傾いた。堀警部が昨年9月電車内で女子大生に痴漢行為をしたとしてことし2月、3カ月の懲戒処分を受けたのだ。本人は否定したが、その後、依頼退職してしまった。

堀氏に連絡がつかなくなったS氏は、それでも警視庁に「堀氏からお金が返ってこない」と訴え続けた。すると警視庁は組織犯罪対策課のK氏という人物を出し、S氏の対応をさせた。しかしそのK氏はS氏にこう言ったという。

「堀はもう警察の人間ではありませんから」

小誌は警視庁の組織犯罪対策4課に対し、「堀氏が飲酒運転で事故を起こしていたことは承知しているか」「200万円を借りたまま返済していないことを把握しているか」などを問うた。

電話で対応した係長は「わかりません」と答えるだけだった。

それだけではない。S氏によれば、S氏の対応に不満をもった堀氏は、談合を仕切っていたグループに「談合情報をリークしたのはS氏だ」と暴露したのだという。

これについて警察関係者は「S氏は暴力団にさらわれてもおかしくない立場になった」と話す。

警視庁は“黙殺”する気か。

(野中大樹・本誌編集部、4月22日号)

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