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リニア計画の事業認可取り消し求め――住民738人が集団提訴

樫田秀樹|2016年6月8日12:23PM

5月20日の入廷行動。左端が川村晃生さん。右から二人目が関島保雄弁護士。(撮影/樫田秀樹)

5月20日の入廷行動。左端が川村晃生さん。右から二人目が関島保雄弁護士。(撮影/樫田秀樹)

2016年5月20日、738人の原告が国土交通省を相手取り、JR東海の「リニア中央新幹線」(以下、リニア)計画への事業認可取り消しを求め東京地裁に提訴した。

同日の記者会見で、裁判を主導する市民団体「リニア新幹線沿線住民ネットワーク」の川村晃生共同代表は、

「被告は国交省だが、法廷には当然JR東海にも出てもらい、計画の杜撰さを公にし、世論を喚起する」

との抱負を語った。

杜撰さ。

たとえば、今年度にも本格着工するかもしれないリニア建設工事では、約5700万立方メートル(東京ドーム50杯分強)もの建設残土が発生するが、JR東海の環境アセスによると、その処分先や用途が決まっているのは全体の約2割。

つまり、残りが未定のまま国交省はこの計画を認可した。

リニアは時速500キロで品川駅(東京都)から名古屋駅までの約286キロを40分でむすぶ計画だが、その86%が地下トンネルだ。

つまりほとんどの地区で工事が地下水脈を断ち切るため、水枯れと異常出水が予期されるのに、アセスでは、リニアが通過する1都6県のすべてで「影響は小さい」と表明されている。

22人の弁護団の共同代表の一人、関島保雄弁護士は「本事業は、JR東海の杜撰な環境アセスを国交省が容易に認めた点で環境影響評価法に違反する」と主張した。

また、リニアの今後最大の問題は、その建設のために約5000人の家屋や土地が収用対象となることだ。今回の原告のうち、205人がその収用対象者だ。

そして、収用に抵抗する運動はすでに始まっている。

昨年7月、山梨県中央市のリニア通過地で530人がオーナーとなった立ち木トラストが始まり、今年4月には神奈川県相模原市の山間部で11人に地上権を設定する土地トラストも始まった。

裁判と並行し、強制収用や行政代執行の動きは注視したい。

(樫田秀樹・ルポライター、2016年5月27日号)

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