根津さん河原井さん勝訴を祝福――「先生の姿勢に学んだ」
2016年7月14日10:32AM
「まさか生きている間に、こんな勝利判決が確定するとは思っていなかった」と根津公子さんは声をはずませた。「君が代」不起立に対する根津さん6カ月、河原井純子さん3カ月の停職処分取り消し、それぞれ10万円の損害賠償を都に命じた高裁判決(須藤典明裁判長)が、5月末日最高裁の上告棄却で確定した。6月19日、裁判勝利報告集会が都内で開かれ、約60名が参加した。
岩井信弁護士は、「『君が代』の強制は、最高裁判決では思想・良心の自由について『間接的制約となる面がある』とされているだけだが、この判決では『実質的な侵害につながる』として憲法判断に一歩踏み込んだ」と、その意義を強調した。根津さんは「この判決で一番うれしいのは、仲間のこれからの重処分に歯止めがかけられるかもしれないこと。免職処分が迫っていたとき、周りからやり過ぎと非難されたが、生徒たちの励ましで救われた。弾圧の時代、闘いきるしかない」と発言した。
河原井さんは「最高裁の分断判決(※)をのりこえようと仲間作りをしてきた。勝利判決は出たが、(『日の丸・君が代』を強制する都教委の)10・23通達の違憲・違法、戒告を含むすべての処分の白紙撤回を勝ち取るまで本当の勝訴はない」と語った。集会に参加した根津さんの教え子、Eさん(25歳)は「今回の勝訴は自分のことのようにうれしい。当時、校長から先生が停職になったのは、『君が代』を歌わなかったからと聞いて、そんなことでなぜと思った。自分の思いをプラカードにして先生に渡した。先生の不起立を貫く姿勢から、自分の考えを貫くことを学んだ」と話した。
今回の画期的な勝利判決は2007年事件のもの。根津・河原井裁判は、現在08年事件が地裁で進行中、まだまだ闘いは続く。
※12年、最高裁は、河原井さんの停職1カ月を取り消したが、根津さんの停職3カ月は維持した。
(佐々木有美・レイバーネット日本、7月1日号)