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東住吉事件の再審無罪確定――大阪府警の自白強要強調

2016年9月7日10:43AM

めぐみさんの写真を手に会見する青木恵子さん(右)。(撮影/粟野仁雄)

めぐみさんの写真を手に会見する青木恵子さん(右)。(撮影/粟野仁雄)

22年目の雪冤。予想された結果だが再審無罪が確定した。

1995年7月に大阪市東住吉の民家が全焼し11歳だった青木めぐみさんが焼死した。殺人罪などで服役し、昨年10月に釈放された母親の青木恵子さん(52歳)と元夫の朴龍皓さん(50歳)の再審判決で8月10日、大阪地裁の西野吾一裁判長は「(朴さんの)自白通りの放火は困難」と失火の可能性を認め、2人に無罪を言い渡した。再審公判で有罪立証を断念していた検察は上訴権を放棄した。

裁判長は同じだが審理は分離公判。この日、午前中に青木さん、午後から朴さんが無罪判決を聞いた。2人はそれぞれ、裁判所の外で待つ支援者に感謝の挨拶をした後、個別に会見した。亡き娘の写真を机に置いた青木さんはめぐみさんが好きだったヒマワリにあやかり黄色基調の服装。「訴えがやっとみとめられて感激した。裁判長さんが『青木さんは無罪です』と私の目を見て言ってくれた。謝罪の言葉はなかったけどあれが謝罪と受け取っています」と話した。

傍聴席の母と姉に見守られて判決を聞いた朴さんはスーツにシルクハットとおしゃれ。ネクタイは16年前に亡くなった父親の形見だがズボンは刑務所作業で覚えた裁縫で自作したという。

朴さんの自白調書が有罪認定の論拠だったが、判決は、首を絞められるほどの恐怖感を抱かせた大阪府警の取り調べが、うその自白を生んだことも再審決定より踏み込んで認めた。

会見で筆者が「取調官は朴さんの犯行だと信じて取り調べていると感じましたか?」と尋ねると朴さんは「信じていたと思います」と答えた。青木さんは国賠訴訟を決めているが朴さんは検討中という。「検察は裁判で大切な証拠を隠してきた。しっかり判決を受け止めてほしい」などと話した朴さんは逮捕前、電気工事士だった。「21年間の技術進歩で何もわからなくなっていますが一から勉強して仕事に就きたい」と抱負を語った。

(粟野仁雄・ジャーナリスト、8月26日号)

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