ビザのない学生に在留許可を――日本で「将来が見えない」
2016年9月16日11:56AM
日本で難民申請などが認められずに両親が「仮放免」の立場に置かれているがゆえ、日本で生まれ育ったにもかかわらず親と同じ仮放免の立場に置かれる子どもたちがいる。仮放免とは、入国管理局の収容を一時的に解かれること。特に、ビザがないので将来働くこともできないなど差し迫った不安を感じている仮放免の高校生、大学生などに在留特別許可を出すこと求めて8月24日、約800人の仮放免者などから成る「仮放免者の会」が法務省入国管理局に申し入れをした。その後、同会と仮放免の4家族は東京都内で会見を開いた。
会見に出た家族はいずれも両親が20年ほど日本に滞在しており、子どもは日本で生まれて日本の教育機関で教育を受けてきた。ガーナ国籍で高校1年の女性は、「この先の未来がまったく見えないから、すごくつらい。一生懸命勉強していい成績を出しても、ビザがないと社会に出て働けないから、全部意味がない。遠くにもあまり遊びにいけない。周りの友だちみたいに自由に人生を生きたい」と話した。仮放免者は居住する県などを出る際、事前に入国管理局から「一時旅行許可」をもらわなければならず、日本国内であっても自由に移動できない。
前出の高校生の母は、「祖国に帰れと言われても、子どもにとって祖国は外国にすぎない」と訴えた。インド国籍で高校2年生の男性も、「生まれてこのかた、日本人としか関わりがない。日本での大学進学を目指しているが、進学のお金を補填するためにアルバイトすることもできない」とした。ブラジル国籍で専門大学1年の男性は、「これまで身につけてきたことや勉強したことも、就職しないといかせない。将来、家族ができても養えない」と不安を語った。
同会顧問、久保田祐佳弁護士は、「何か悪いことをしたから在留特別許可がないと誤解する人もいるが、子どもたちに落ち度はまったくない」と強調し、指宿昭一弁護士は「両親が仮放免だということに引っ張られ、子どもまでもを仮放免の立場に起き、在留特別許可を出さないのはおかしい」と指摘した。
(本誌取材班、9月2日号)