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朝鮮外務省日本担当者らが異動――対日政策後退の表れか

2016年10月24日5:51PM

『朝日新聞』(10月7日付)は複数の日朝関係筋の情報として、日朝両政府関係者が9月3日~4日に、中国の大連市内で接触したとみられると報じた。日本側から外務省アジア大洋州局の参事官ら3人が出席、と具体的だ。しかし岸田文雄外務大臣と菅義偉官房長官は同日、この秘密接触を否定した。

「福岡県日朝友好協会」は、今月5日に宋日昊朝日国交正常化交渉担当大使と平壌市内で面会。日本との交渉責任者が交代していないことが確認された。ところが筆者の朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)取材で、外務省日本担当者が次々と人事異動になったことが分かった。

6月1日に、外務省の趙炳哲日本担当研究員を単独インタビューした。部下の許成哲さんの、北京の朝鮮大使館への異動を明らかにし、外務省の日本担当者が減少していることを嘆いた。その2カ月後、趙研究員も日本担当から外れて他の部署へ異動していることが判明した。

この2人は2012年からの日本人埋葬地への調査・墓参団受け入れを担当し、14年5月のストックホルム合意や日朝のさまざまな交渉に関わるなど重要な役割を果たしてきた。この異動が意味することは、日本人調査のための「特別調査委員会」が今年2月に解散し、当面は日本との積極的な交渉をしないということだ。

筆者は8月25日に「朝鮮対外文化連絡協会」の孫哲秀日本局長に単独インタビューをした。局長は「日本当局の朝鮮に対する独自制裁措置が撤回されない限り、朝日関係の改善は考えられない」と語り、日本政府が検討している独自制裁のさらなる強化を牽制した。

これが朝鮮の今の、日本への基本姿勢であることは間違いないだろう。そのため、日朝秘密接触が行なわれていたとしたら、朝鮮側は制裁撤回を交渉の前提として提示したものと推測される。

(伊藤孝司・フォトジャーナリスト、10月14日号)

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