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HPVワクチンの危険指摘を抑えるメールが明らかに――厚労省とWHOが接種推進
2016年11月29日11:02AM
HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)接種後の重大な副反応被害に対する賠償と救済を求め、10~20代の女性63名が全国4地裁で国と製薬企業2社(グラクソ・スミスクライン社、MSD社)を訴えたHPVワクチン薬害訴訟は、福岡(9月28日)と大阪(11月8日)で第1回口頭弁論が開かれた。
被告企業側はWHO(世界保健機関)などが繰り返し発表してきた「安全声明」を盾に、対決姿勢を示している。
だが、薬害オンブズパースン会議(鈴木利廣代表)は11月2日、中立の立場で公衆衛生行政に携わるべきWHOと厚生労働省の担当者が、危険を指摘する声を抑え込もうとしていた事実を示すメールの存在を明らかにした。
メールは、2014年2月26日に厚労省が開いた「子宮頸がん予防ワクチンに関する意見交換会」に関するものだ。別件でHPVワクチンの危険性を指摘しようと来日を予定していた米仏の研究者を招き、別の研究者に反対の論陣を張らせて、両論併記の報道に導こうと考えたらしい。
反論してくれる研究者探しのため、WHOワクチン安全性諮問委員会(GACVS)のロバート・プレス委員長が厚労省健康局結核感染症課の難波江功二課長補佐に代わり、18日付でニュージーランドの研究者に打診した。
当の研究者は十分な実績がないことを認めつつ、テレビ会議形式で参加した。そのため、NZでの情報公開請求により、一連のメールが表に出た。意見交換会座長の倉根一郎・国立感染症研究所副所長や難波江氏らはGACVSメンバーと電話会議で事前打ち合わせを行なった可能性もある。GACVSは難波江氏の依頼通り意見交換会の2週間後に声明を発表した。
科学的に未知な事柄に対する謙虚さを忘れ、推進に偏り続ければ、いずれ国もWHOも信頼を失うだろう(役職はいずれも当時)。
(太田美智子・ライター、11月18日号)
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