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マイナンバー収集、不適切では――国税庁の動画に批判
2016年11月30日1:23PM
国税庁がホームページで流しているマイナンバー制度の広報動画に、個人番号を不適切に収集するシーンがあると批判が出ている。制度に反対する市民グループ「共通番号いらないネット」のメンバーは「国税庁は個人番号の取り扱いで他省庁のモデルになっており、民間に誤った方法を推奨することになる」と主張し、配信中止や内容の修正を求めている。
動画は、9月に公開された「マイナンバー(個人番号)と法定調書」で、9分39秒のドラマ仕立て。講演会の主催会社の男性が講演料支払いのために講師から個人番号を収集する場面があり、男性は番号を自分の手帳に書き取ると、そのままシャツの胸ポケットにしまってしまう。
特定個人情報取扱ガイドラインは、個人番号を記載した書類は鍵がかかる棚などに保管し、必要がなくなったら速やかに破棄するよう定めており、動画の中でも説明されている。同ネット事務局の原田富弘さんは「手帳を無防備に胸ポケットに入れて持ち歩けば、紛失や盗難で個人番号が漏洩する危険が大きい。不要になった番号だけをすぐに手帳から消すとも考えられず、番号の扱い方として不適切だ」と指摘する。
同ネットは11月5日に都内で開いた学習会でこの動画を上映し、約100人の参加者が視聴。「費用と手間をかけて個人番号の管理態勢を整えさせられた事業者をバカにしている」との声が聞かれた。
国税庁の担当者は「個人番号を手帳に書き取ることがただちにガイドラインに違反するとは考えていない」とした上で、「番号の提供にどんなケースがあるかにフォーカスを当てて制作しており、収集する側の安全管理措置は当然なされている前提だ」と釈明。一方で、指摘を受けて「機会があれば収集する側に注意を喚起するような広報素材を作ることも検討したい」と話している。
(小石勝朗・ジャーナリスト、11月18日号)
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