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大学所蔵のアイヌ遺骨問題――「コタン」への返還続々

2016年12月15日11:36AM

市民集会で語る訴訟原告の小川隆吉さん(右)ら。11月25日、札幌市内。(撮影/平田剛士)

市民集会で語る訴訟原告の小川隆吉さん(右)ら。11月25日、札幌市内。(撮影/平田剛士)

北海道大学に対する一連のアイヌ遺骨返還請求訴訟のうち、紋別市内から1941年9月に持ち出された4体について、原告の畠山敏・紋別アイヌ協会会長と北大の間の和解が11月25日、札幌地裁で成立し、近く同協会に対する返還が実現することになった。

政府の遺骨返還指針が定めた祭祀承継者(民法が規定する遺骨の所有権者)にこだわらず、大学が遺骨を元の地域のアイヌ集団に返還するのは、今年7月の「コタンの会」への返還(浦河町杵臼、本誌8月26日号で既報)に続き2例目。原告団によれば、残る浦幌訴訟(原告=浦幌アイヌ協会、約60体)でも、遺骨返還に向けた和解協議が進んでいる。

「先住民族の権利に関する国連宣言」(2007年採択)は、祖先の 遺骨へのアクセス権を「先住民族集団の権利」の一角に位置づける。各アイヌグループが相次いでこの「集団の権利」を取り戻していることに刺激を受けて、道内の他の地域でかつて墓暴きや遺骨持ち出しの被害にあったアイヌたちも声を上げ始めた。

同日、札幌市内で開かれたシンポジウム「アイヌの遺骨はコタンの土へ」(コタンの会など主催、本誌など協賛)には市民約110人が参加。かつて地元墓地から約200体の遺骨を持ち去られた新ひだか町在住の高月勉・コタンの会事務局長や、12体の遺骨が北大に留め置かれたままになっている平取町の木村二三夫・平取アイヌ協会副会長らが、遺骨返還をめざすそれぞれの活動を報告した。

また「杵臼をモデルに各地への遺骨返還プログラムを確立しよう」、「アイヌに対する植民地支配・同化政策について学び合い、地元への遺骨返還を支援しよう」などとする集会声明文が、大きな拍手で採択された。

全国の大学・博物館には、まだ1600体以上のアイヌ遺骨が残されている。

(平田剛士・フリーランス記者、12月2日号)

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