給付型奨学金導入を訴えて財務省前でキャンドル行動――自公の案はまったく不十分
2016年12月22日6:03PM
12月2日、財務省前で市民団体「教育の機会均等を実現する奨学金を考える連絡会」が給付型奨学金の導入を訴える「キャンドル行動」を行なった。会のメンバーはローソクの入ったコップをかざし、財務省に拡声器でのアピールを展開したのだ。
34カ国が加盟するOECD(経済協力開発機構)で、給付型奨学金がないのはアイスランドと日本だけ(そのアイスランドの年間授業料は約7万円)。日本では、自民、公明両党がここにきて給付型奨学金の導入を打ち出したが、その内容はじつに不十分だ。
「来年度導入と言いますが、1学年2万人だけが対象で月額も3万円だけ。100万人以上が日本学生支援機構の奨学金を受給する現状では考えられない薄い措置です」(会の伴幸生さん)
今年、大学院博士課程を修了したAさんは大学の非常勤助手の職を得たが、月十数万円の給与では機構から借りた数百万円もの奨学金を返せる目途が立たず、機構に返還猶予を申請し認められた。だが機構の規則では、年収300万円以下には猶予が認められるが、最長10年が限度だ。
Aさんは「イギリスでも貸与型奨学金はあるが、30年経っても完済できなければ返済免除の救済制度がある。日本では猶予期間が終わり返済できないと、機構は一括返済を求めてくる。安心して学べる奨学金の制度設計を」と訴えた。
韓国ではかつて授業料の高騰が続き、学生は学業よりもバイトに追われ、借りた学費を返済できず金融機関のブラックリストに2万5000人も登録されると、国民が動いた。街頭で給付型奨学金導入を訴える「キャンドル行動」を実行したのだ。その結果、韓国は08年に給付型奨学金を導入した。
今回のキャンドル行動もそれを意識したものだが、12月9日には、財務省前で他団体との共同行動が実施される予定だ。
(樫田秀樹・ジャーナリスト、12月9日号)