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安住民進党代表代行も参加、度量と決意が試される――共産党大会、「野党共闘」促す
2017年1月30日11:03AM
「この舞台に立っていることに歴史的使命を感じています」――。 1月15日、静岡県熱海市ではじまった第27回日本共産党大会に招かれた安住淳民進党代表代行は来賓あいさつでこう述べた。
国会では自民、公明、日本維新の会ら改憲勢力が3分の2以上の議席を占める。こうした状況に、当日、やはり来賓で招かれた小沢一郎自由党代表は「このままいけば本当に取り返しのつかない事態に日本社会、日本の国民は陥ってしまう」と危機感をあらわにした。
共産党の結党は1922年。「長い党の歴史のなかで、党大会に他の政党の方をお招きしてご挨拶いただくのは今回が初めて」(志位和夫委員長)で、志位氏は今回の党大会を「歴史的意義を持つ大会」と位置づける。
3年前の党大会では「『自共対決』時代の始まり」と謳った。その路線に今回は明らかな変化が生じている。安保法制に反対する学生団体シールズが「野党と市民の共闘」を呼びかけたことも大きい。
近年の共産党は「ゆるキャラ」で政策を訴えたり、天皇が出席する国会開会式に党幹部が初めて出席したり、綱領で「解消」を明記している自衛隊について「独自の立場を持ちこまない」とするなど、硬直的な党イメージの刷新をはかっている。根強い共産党アレルギーを払拭し、市民に受け入れられる政党への脱皮が狙いだ。
志位氏はこの日、「大会の主題を一言で述べるなら、開始された日本の政治の新しい時代をいかにして、さらに前に動かすか。日本の政治の新しい時代を前に動かすために、(略)野党と市民の共闘をどうやって前進させていくかだ」と述べた。
【「大局観に立って」】
民進党の安住氏は安全保障や原発再稼働、消費税増税の是非などについて「わが党と日本共産党との間には今なお、考え方に隔たりのある政策があることは事実」としながら「これらの政策について完全に一致することは難しいかもしれないが、一つひとつのテーマについて両党が真摯に話し合い、それぞれの考えを尊重しながら、ある一定の幅の中にこれらの政策を寄せ合うことは可能だ」と述べ、次のように語った。
「多くの国民は、強者の論理を振りかざし、右傾化の流れを強め、立憲主義を無視する安倍政権に代わり、弱い立場の人々に寄り添い、ともに助け合うしなやかな社会の構築を目指す、もうひとつの政治勢力が結集することを強く望んでいる。私たちはその期待に応えなければなりません」
「違いをことさらに強調するのではなく、大局観に立って一致できる点を見出すこと、その度量と決意で、共通の敵に立ち向かう時にはじめて、今の政治を動かすことができる」
小沢氏は「憲政史上の大きな転換期」において、野党と市民の共闘の芽が出ていることに「大きな転換をうながした最大の原動力は日本共産党」とヨイショ。
「昨年夏の参院選は、共産党の皆さんが方針を大きく転換させ、国民のため、安倍政権を打倒するために1人区の候補者を野党で1本化する、そういう英断を下された。国民の生活を第一に考えた英断であり、高く高く評価する」と言いつつ、こう指摘することも忘れなかった。
「自公に3分の2の議席を取られてしまった。私からすれば勝利とは言えない、敗北の選挙。11議席取ったからといって喜んでられる結果ではなかった、と、お互いに肝に銘じたい」
政権を目指さなければ意味がないという、この人らしい政治観を披瀝したと言える。小沢氏にとり、野党と市民の共闘はあくまでも自公政権を打倒し、新しい政権を樹立するためにやるということだ。
社民党の吉田忠智党首と会派「沖縄の風」代表の糸数慶子氏もあいさつした。糸数氏は「元祖野党共闘」である「オール沖縄」が翁長雄志沖縄県知事、伊波洋一参議院議員を生んだと成果を示し、野党と市民の共闘が実現できれば結果が出せると強調した。
度量と決意が試される。
(野中大樹・編集部、1月20日号)
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