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「文春砲」誤爆の将棋ソフト疑惑――後味悪かった谷川会長辞任
2017年2月10日11:09AM
「10月中旬当初から、食欲がなく、寝付けなくなった。年始年末に休養をとれば(体調不良が)戻るかと思ったが、かえって重圧を感じるようになった。会長職の重責を担うことは無理だと考えた」
1月18日、東京・日本将棋連盟で緊急会見が開かれ、谷川浩司会長(54歳)が辞任を発表した。
三浦弘行九段が、長時間離席しその間に将棋ソフトを不正使用して対局をしたと、久保利明九段や渡辺明竜王からの“告発”があり、昨年10月12日、連盟常務会は竜王戦の挑戦者だった三浦九段を前代未聞の出場停止処分にした。世間的には“三浦九段はカンニングした”との印象が広まったが、プロ棋士、特にベテランの棋士の間では早々に離席時間や一致率は疑惑の根拠にはならないとし、常務会の独断について批判が高まっていた。
一方で連盟は第三者調査委員会を設置、疑惑と常務会の処分の妥当性について調査。その結果、三浦九段の長時間の離席、将棋ソフトとの棋譜の高い一致率は否定。報告書には「久保九段の思い込み」とバッサリ。一方、常務会の判断については、「やむを得ないもの」と玉虫色の結論を下した。
結局、三浦九段の騒動は何だったのか。常務会は竜王戦の最中に『週刊文春』に三浦九段の疑惑が書かれることで生じる「深刻な事態」をおそれた。印象論の疑惑に依拠する決断であった。
記者会見は谷川会長の体調不良を理由に15分に制限され、質疑は5分程度で打ち切り。筆者は責任を感じて辞任を申し出た他の常務会理事がいたのか尋ねたかったが指名されず。2月6日の臨時総会で2名の新理事を選任、佐藤康光元名人が会長に選出される見通しだが、「それもガス抜きにすぎません。読売新聞社も了解しているし、仕事をするのが責任の取り方だと開き直る理事もいますよ」(棋士関係者)と連盟幹部への不満は依然としてくすぶっている。
(平井康嗣・編集部、1月27日号)
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