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沖縄の宮古島市長選挙で示された「民意」──“再選市長”の疑惑は多々(内原英聡)
2017年2月15日9:40AM
任期満了に伴う沖縄県宮古島市の市長選挙は1月22日投開票を迎え、現職の下地敏彦氏(自民党推薦)が9588票で再選された。当日有権者数は4万3401人(女性2万1956人、男性2万1445人)で投票率は68・23%。投票総数は2万9614人だった。
いわゆる”保守系”の支持者が多いとされる宮古島市で下地氏は2009年に初当選し、13年は無投票(対立候補なし)で再選。昨年6月市議会では陸上自衛隊の配備受け入れを表明し、今回で争点の「民意が示された」「陸自配備に弾みがつく」といった声があがる。大手メディアも軒並みこの論調だが、「民意」は現職に厳しい視線を向けている、というのが実態だ。
今回、第一声で「大変厳しい選挙」としながら“陸自配備反対”を明言した奥平一夫氏(前県議、民進推薦)は9212票で第2位につけた。現職との得票差も376票まで迫る勢いだ。第3位の真栄城徳彦氏は6545票を獲得。現職市政の相次ぐ不祥事や情報隠蔽体質を批判。陸自配備計画も全容開示がされないかぎりは「反対」との立場を示した。第4位の下地晃氏(医師、社民党と沖縄社会大衆党が推薦)は4020票を獲得。関係者によれば下地氏は自衛隊の任務(島嶼における急患搬送など)を一部認める半面、配備計画は依然危険性が高いとし、中盤からは「断固反対」を強調した。
現職市政では数々の不正が判明、疑惑浮上も相次いでいる。14年度の観光プロモーション事業では行政手続きの不透明性をめぐり、市議会で調査特別委員会(百条委)が設置され現在審議中だ。
22日は市議補欠選挙(欠員2)も同時に投開票され、会社員の前里光健氏(8374票)に次いで陸自配備反対を貫く石嶺香織氏(「てぃだぬふぁ 島の子の平和な未来をつくる会」共同代表)が、7637票で初当選を果たした。宮古島市の今後が注目される。
(うちはら ひでとし・編集部、2017年1月27日号)
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