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TPP違憲訴訟、締結状況も示さず、突然結審。「日本の司法制度がここまで劣化したか」

2017年2月16日1:10PM

1月16日、報告会で闘いの継続を訴える山田正彦氏。(撮影/高橋清隆)

環太平洋戦略経済連携協定(TPP)の違憲確認などを求める「TPP交渉差止・違憲訴訟」第7回口頭弁論が1月16日、東京地裁(中村さとみ裁判長)で開かれた。原告側が釈明を求めた締結状況は示されず、突然の結審だった。

昨年11月の第6回弁論で通知なく裁判長が変わっていたことを受け、前半は更新弁論に充てられた。続いて、2人の原告が批准による損害を証言した。

アジア太平洋資料センターの内田聖子事務局長は、TPP交渉の秘密主義を批判。「甘利―フロマンの交渉記録も開示されると真っ黒に塗られて出てきて、『外交上の秘密でお答えできない』と言う。国民の知る権利に対する大きな侵害がある」と指摘した。

経済学者の植草一秀氏は「TPPは憲法が保障する生命や自由、幸福追求に対する国民の権利を根底から覆す明白な危険を伴うとともに、国民と国家の主権を喪失させる」と指摘。憲法が最高法規であることを定めた98条に照らし、公正な判断を求めた。

原告弁護団はTPP協定の締結手続きの現状を明らかにすることを求めた。被告の国側は「批准していないから訴えの利益はない」と棄却を主張してきたからである。国は「締結はなされていない」と答える一方、閣議決定の必要性については「この場では回答できない」と言及を避けた。

準備書面の交換について協議し始めると、裁判長が「その必要性はない。審議は尽くした」と発言。5分ほどの休廷を挟み、裁判長は突然「弁論を終結したい」と告げた。退出する3人の裁判官に怒号が飛ぶ。

「ひどい」「これが裁判かよ」

元農水相で「訴訟の会」幹事長の山田正彦氏は、「日本の司法制度がここまで劣化したか」と嘆いた。

政府は1月20日、国内手続が完了したことを寄託国のニュージーランドに通報した。

(高橋清隆・ジャーナリスト、2月3日号)

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