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民進党の病は深刻だ(西谷玲)

2017年2月21日5:32PM

国会が始まったが、安倍晋三首相一強のもと、「凪凪」(自民党若手)の状況である。解散総選挙は秋以降と予想され、天皇退位問題や共謀罪などが国会審議の焦点だが、国民の関心も今一つだ。

その原因の一つが、民進党にある。代表が蓮舫氏になったけれども、いま一つぴりっとしない。存在感もない。支持率も伸びない。

なぜかといえば、大きな理由として挙げられるのは、いまだに「まとまらない」からだ。

目を疑ったのは、昨年末のカジノ法案採決の時の顚末だった。民進党の参院は、党の執行部と合意を得ないまま、カジノ法案の採決をすることに合意したのだ。

カジノ法案は民進党として反対することになっていた。12月初めの党首討論では、蓮舫代表がカジノに的を絞って反対論を繰り広げたばかり。それなのに、採決にあっさりと合意してしまえば、成立を後押ししたのも同然だ。実際、そのあとカジノ法案はすんなりと成立した。

自民党内ですら慎重論がささやかれていたものだ。反対であるということを明確に世論に訴える、あるいは時間切れの廃案に追い込むことだって可能だっただろう。それなのになぜ、そんな敵に塩を送るようなことをするのか理解に苦しむ。

法案を参院で採決した後、民進党の榛葉賀津也参院国会対策委員長は「参院としての矜持を込めて(法案を)送り返した」と述べたというが、矜持を見せる場を間違っているだろう。

蓮舫氏は昨年9月に代表に選出されたばかり。まだ半年たっていないのだ。それなのに、なぜ自らバラバラであることを強調するようなことをするのか。まとまらなくていいと思っているのか。

蓮舫氏も、採決に対しての対応はうやむやだった。これでは、ますます足もとをみられ、甘くみられかねない。同様のことが早晩起こりそうだ。

「蓮舫氏は嫌われるのを怖がっている」(中堅議員)という。不満には思っても、党内に厳しいことを言えないでいるようだ。

劣勢にある党で、誰からも文句を言われずに立て直すというのは難しいだろう。何もしなくても文句は出るのだろうから、だったら蓮舫氏は代表として自分のやりたいように思いっきり行動したほうがよい。

もう一つ、民進党の対応で疑問符がつくものがある。それは「対案・提案路線」である。

『週刊金曜日』1月20日号で浜矩子氏が明確に批判しておられた。同様の指摘は他の識者にもある。野党にとって、対案路線というのは幻想である。情報量も違うし、そもそも提案したって実現しないのだから。明確に反対だと主張し、その理由を理路整然と説明すればよい。

なぜ共産党が昨今、支持を伸ばしているのか。

それは、彼らの提案が具体的で、実現してほしいから、という人たちばかりではないだろう。むしろそういう人は少数派ではないか。そうではなくて、共産党がきっちりまとまって与党に反対してくれること、その首尾一貫性が支持されているのだ。志位和夫委員長が自ら言っているように「たしかな野党が必要」だからだ。

選挙は遠いといって油断していると、民進党の病は重くなるばかりだろう。
(にしたに れい・ジャーナリスト、2月10日号)

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