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文科省、教科書編集をがんじ搦め――指導要領との対応を明示

2017年2月24日12:20PM

文部科学省が1月23日開催した、教科用図書検定調査審議会(検定審)の第3回総括部会で、教科書の「主要な内容」と学習指導要領(以下、指導要領)の「内容・項目」との対応までも、教科書上に明示させる“改善”策を出した。

文科省教科書課(望月禎課長)が検定審に出した「教科書の改善について(論点整理)(案)」は、(1)教科書の主要な内容が指導要領の示す内容・項目とどう対応しているか教科書上に明示し、(2)指導要領『解説』を「より踏まえ」教科書記述に適切に反映することが、「求められる」と明記(傍点筆者)。

文科省は2014年1月、各出版社が検定申請した教科書に添付を求めている「編修趣意書」に、教科書の構成・内容(第1・2章など)と教育基本法第2条各号とを対照させるよう、教科書検定規則実施細則を改定し、「指導要領との対照表」の提出も義務化した。

今回の(1)は、それを教科書にも明示するよう求めたもの。改定教育基本法に盛った“国を愛する態度”に加え、小学校6年や中学社会の指導要領が明記している「国歌尊重」「天皇への敬愛の念」「我が国の防衛、(自衛隊の)国際貢献」等で、一層政府の政策や見解に沿う記述を強制する意図が明白だ。

また、(2)の『解説』は、文科省が「大綱的基準として法的拘束力がある」とする指導要領とは異なり、参考資料にすぎないのに、「より踏まえ」と強化。いきすぎだ。

このため複数の傍聴者が閉会後、「(1)の追記により(指導要領を読んでいるわけではない)子どもたちが教科書を読む際、煩雑になる恐れ」などを質すと、教科書課の担当者は「(1)は教師にとっては指導要領との関係がより分かり易くなる。また、文末を『求められる』と表現したのは、今回は検定基準の改正まではせず、出版社側に期待するということだ」と答えた。

“改善”策は教科書の編集を一層、がんじ搦めにするものだ。

(永野厚男・教育ジャーナリスト、2月10日号)

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