治安維持法違反に問われ獄死した韓国の詩人、尹東柱生誕100年で京都に記念碑建立へ
2017年3月15日10:28AM
戦時中、留学先の京都で治安維持法違反に問われ、27歳で獄死した韓国の国民的詩人、尹東柱(1917~45年)。生誕100年の今年、彼が逮捕2カ月前に学友らと訪れた京都府宇治市の宇治川河畔に記念碑が建立される。制作から10年を経過、設置場所探しが難航していた。
2月18日、宇治市内であった「詩人尹東柱の想いを今につなぐつどい」で、記念碑設置場所が報告された。
宇治川上流の天ヶ瀬ダム近くで、地元の区が土地を提供する。
「記憶と和解の碑」と題され、高さ2.1メートル、幅1.4メートルで、日本と朝鮮半島産の石を使用。夏までには設置する。
尹が1943年5月、付近で学友らと撮ったはにかんだ笑みの写真が残され、市民らが2005年に記念碑建立委員会を組織し募金活動、07年に制作された。
建立委では、下流側の府立宇治公園内への設置を約30回に亘って府に要望した。だが、府側は建立には付近の風景を詠んだ作品が必要と繰り返してきた。
尹は中国東北部生まれ。来日した1942年に同志社大学に入学。母国語のハングルで詩をつづったことが「独立運動」とみなされ、翌年、逮捕された。懲役2年の刑で、福岡刑務所で不審な死を遂げた。
「つどい」では、建立委代表の安斎育郎・立命館大学名誉教授が経過を報告、「(治安維持法が招いた)歴史の事実に誠実に向き合うことが大切」と話した。
(土岐直彦・ジャーナリスト、3月3日号)