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森友学園の異様さに(雨宮処凛)
2017年3月23日7:40PM
国会では安倍晋三首相への追及が続き、「第二の森友学園」疑惑が浮上するなど「アッキード事件」は広がっていくばかりだ。
そんな森友学園が運営する塚本幼稚園の映像が連日テレビに映し出されている。
教育勅語の暗唱、運動会で「安倍首相、頑張れ!」「安保法制国会通過、良かったです」などと言わされる園児たち。
塚本幼稚園の映像を見て思い出したのは、今まで5回訪れた北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)だ。
初めて北朝鮮に行った時、連れて行かれたのは幼稚園だった。
そこには、幼稚園なのになぜかファンデーションをがっちり塗り、唇を真っ赤に塗るなどしたフルメイクの子どもたちがきらびやかなチョゴリに身を包まれていた。
私たち外国人が教室を訪れると、「うちのお父さんは主席から勲章をもらった」という歌を朗々と歌い上げたり、集団で一糸乱れぬダンスを披露してくれたりしたのだった。
また、幼稚園の先生が「この日はなんの日ですか?」と聞くと、「大元帥様のお生まれになった日です!」と全員が大きな声で唱和。子どもたちは可愛かったものの、歌ったり踊ったりするときの子どもらしさのまったくない作り込まれた表情に、なんとも言えない違和感が残った。
それから数年後、また北朝鮮を訪れた際、今度は小学生が芸術活動をする場所に連れていかれた。
やっぱり綺麗にメイクをして、琴のような楽器を弾いたりバレエをする子どもたちの表情は作り込まれていて、演奏やダンスはもちろん完璧だった。
そんな子どもたちを次々と見せられているうちに、一緒に行った男性の1人が突然泣き出した。混乱して、動揺して、とにかく何もかもが異様で、耐えられなかったのだという。彼が泣く姿を見て、「ああ、やっぱりこれって泣くくらいのことなんだよな」と、妙に冷静に思った。が、北朝鮮のガイドは、終始「わが国の子どもはこんなに素晴らしい教育を受けている」と自慢げだった。
そんな北朝鮮を彷彿とさせる森友学園が新設する「瑞穂の國記念小學院」の名誉校長に、首相の妻である安倍昭恵氏が就任していたのだ(現在は辞任)。しかも、教育方針に感銘を受けたことを語っている。
森友学園の問題が発覚する数日前、あるヴィジュアル系バンドのコンサート会場で昭恵氏を見た。終演後、出口に向かう昭恵氏は満面の笑顔だった。布袋寅泰氏もそうだが、彼女は随分とミュージシャンが好きなようである。彼女には公費で5人の秘書がついているというが、あの時、秘書は同行していたのだろうか。
なんだかとても、気になる。
(あまみや かりん・『週刊金曜日』編集委員。3月10日号)