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森友学園事件で「ポスト安倍」の動きが加速 キングメーカー狙う麻生太郎氏
2017年4月3日11:22AM
森友学園事件の衝撃が永田町内に余波を生んでいる。
石破茂前地方創生担当相は3月17日、自身のブログ上で政府の説明を「説明していないのと同じこと」と指摘した上で、「与党議員がこんなことではいけないと自戒を込めて思っています」と綴った。「ポスト安倍」の筆頭格が現政権の対応に苦言を呈した恰好だ。
3月23日には「森友学園」理事長の籠池泰典氏が証人喚問されるが、この動きに乗じて自民党内には「安倍後」を見据えた動きに注目が集まりはじめている。一方、政権中枢は引き締めに躍起だ。
安倍政権の緊張感を物語るエピソードがある。3月9日、内閣府政務官だった務台俊介衆議院議員が辞表を提出したのだ。
務台氏は8日夜、東京都内で開催した自身の政治資金パーティで「長靴業界はだいぶ儲かったんじゃないか」と発言。昨年9月、豪雨被害の視察で岩手県岩泉町を訪れた務台氏は、長靴をはいていなかったことから水たまりを職員に「おんぶ」されて渡り、批判を浴びていた。
同氏は発言発覚後も「職責をまっとうしたい」と続投の意を示していたが、翌9日の夕刻には辞表提出の運びとなった。
何が起きていたのか。政治部記者が解説する。
「実は9日の朝、菅義偉官房長官が本人に『いい加減にしろ!』と怒鳴っていました。森友学園問題で政権に向かい風が吹いている中、こうした言動は国民の琴線に触れる。支持率下落に拍車がかかってしまうことを菅さんは何よりも警戒したのです」
危機管理にもっとも神経を尖らす菅氏による“務台瞬殺”だ。
森友学園の籠池理事長らから国有地の取得を巡って「現金のようなものを差し出された」と会見で明かした鴻池祥肇元防災担当相(麻生派)の動きも奇妙であるという憶測を方々で呼んでいる。
というのも、氏が麻生太郎副総理の側近であるからだ。森友学園事件の騒動がおさまらぬ中で、「万が一のことがあれば自分が」と考えている麻生氏のために鴻池氏が一肌脱いだのではないか、という見立てだ。
【森喜朗氏のようなキングメーカー狙う麻生太郎氏】
真相は不明だが、麻生氏のただならぬ動きは、大宏池会構想にもあらわれている。
大宏池会構想とは、自民党内の谷垣グループ(有隣会)が麻生派(為公会)と合併し、さらに岸田派(宏池会)とも合併することで大宏池会という現在の最大派閥である細田派(清和政策研究会)に匹敵する大勢力を誕生させるというもくろみのこと。
一部では、民進党との二大政党体制を目指すのではなく、55年体制のように自民党内の派閥間で切磋琢磨し政権を取り合う体制をつくるべきだと麻生氏が考えてのこと、と報道されたが、それはあくまで表面的な話だ。
麻生氏の真の狙いについて、自民党関係者が説明する。
「麻生さんは、もし大宏池会が誕生した日には現宏池会の親分である岸田文雄外相がトップに立ってもいいと言っているんです。先般、麻生派は甘利明議員を招き入れましたが、あれには深い意味が隠れている。『うちには甘利のような大物が入ったけど、大宏池会が誕生すればあなたがトップに立っていいんだよ』というメッセージを岸田さんに送ったと言えるのです。麻生さんの真の狙いは、森喜朗元首相のような、裏で物事を動かすキングメーカーになることにほかなりません」
大宏池会構想に前のめりなのは佐藤勉元総務相らだ。その狙いは何なのか。
「佐藤さんは麻生政権下で総務大臣にしてもらったことで麻生さんに恩を感じている。実質的には麻生派の一員です。いま大宏池会構想に向けて若手議員を集めて勉強会をやったりしていますが、そのことは岸田さんにも内密にしている。もちろん岸田さんは気づいていますが」(同)
「安倍後」を狙う面々の動きが活発化しはじめている。
(野中大樹・編集部、3月24日号)
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