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避難指示解除された飯舘村の恐るべき推定生涯被曝線量

2017年4月11日11:16AM

(作成/グリーンピース・ジャパン)

昨年6月、日本政府は2017年3月31日に福島県飯舘村の帰還困難区域を除いて避難指示を解除する方針を明らかにした。

国際環境NGOグリーンピース・ジャパンはこれを受けて飯舘村村民が帰還して事故前の暮らしを続けた場合、生涯でどれくらい被曝するのかを推定することとした。帰還するかしないかを判断するために、帰還するとどれくらい被曝するのかが重要な要素であるが、国はこの推定をしていないためだ。

具体的には、自宅周辺の現在の放射線量を詳しく測って加重平均を求め、時間の経過に伴った放射線量低下を考慮し、今年3月31日から70年間の累積線量を推計した。

放射線量の調査は、飯舘村の北部、南部、中心部の7軒の民家の所有者の協力を得て16年11月23日から26日に実施した。生涯にわたる累積線量の計算はドイツの核物理学者のオダ・ベッカー氏に委託した。その結果、7軒中、最も被曝線量の多いケースで183ミリシーベルト(mSv)だった(表、家屋Dの右列参照)。なお、これには事故直後の莫大な被曝量、今後の除染による放射線量の増減、森林からの放射能による再汚染、吸入や食品からなどの内部被曝は入っていない。

結果は7軒の民家の所有者に対し、それぞれ報告書を作成して渡し、そのうち4軒の民家所有者には別途面談で説明もした。面談した4人のうちの1人安齋徹氏は、もともと帰らないと決めていたが、改めて「とても帰れる状況ではない」と語った。そして、「役所は、帰れ帰れというばかりで、必要な情報は教えてくれない」とこぼした。安齋氏の自宅周辺の放射線量は加重平均で毎時0・7マイクロシーベルト(μSv)だったが、この値は放射線管理区域の基準(毎時0・6μSv)以上に相当し、今回の避難指示解除で帰還すれば、胸部X線の検査を毎週受け続けるのと同程度の被曝をすることになる。

【説明されない被曝リスク】

また、今回、平均空間線量を求めるのとは別途、ホットスポットを探す調査も行なった。ある民家では、家屋の軒下等で、毎時3・3μSvが計測された。この民家ではこれまで3回除染が行なわれていることを考慮するとこれは深刻な問題だ。

さらに、2軒については、16年2月から個人線量計を家屋内に設置していた。その結果を365日間に換算した値を求めたところ、5・12~10・43mSvとなった。日本政府による線量評価では、屋内の線量は屋外の4割となり、この家の屋外の平均線量から考えれば、家屋内の線量は年間2・5mSvとなるはずである。政府の評価が妥当でない可能性が高い。

問題は、こうした被曝リスクについて、住民には一切説明されていないことだ。避難指示解除後1年で賠償も打ち切られる。賠償が打ち切られれば、帰りたくなくても帰らざるをえない村民もいるだろう。政府は、村民の放射線管理区域に相当する地域に帰らない権利まで奪ってはならない。

報告書は URL
http://www.greenpeace.org/japan/Global/japan/pdf/NoReturnToNormal.pdfで全文が読める。

(鈴木かずえ・国際環境NGOグリーンピース・ジャパン、3月31日号)

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