輸入農産物への
グリホサートの残留基準
現行の5~150倍に
大幅緩和か?
植田武智|2017年4月21日1:06PM
そばへの残留は
平成28年度調査ではアメリカ産から54件中51件、カナダ産からは36件中36件。現在の残留基準値(5ppm)を超えるものはないが、平成24年度のカナダ産小麦からは、基準値ぎりぎりの4.34ppmの残留も見つかっている。
ただ海外ではグリホサート残留を気にする動きも出てきており、穀物商社の間では、小麦や大麦(特にビールの原料になるモルト原料のもの)について、収穫前の散布をしていないものしか買い取らないとする動きも出てきている。
日本政府の対応もただ国際基準に合わせるだけでなく、国際基準を厳しく変える方向への検討ができないものか?
日本人として特に気になるのはそばへの残留だ。
小麦や大麦と違って加工度合が少ないため、余計に残留しやすいと思われる。現在、日本のそばの自給率は2割程度で、残りの8割は輸入。中国が85%、アメリカが13%程度を占めている。中国産も気になるところだが、グリホサートについては収穫直前散布はしていないと思われる。穀類全般の残留基準は低いままで、最大でも小麦の5ppmだからだ。
明らかに問題なのはアメリカ産そば。アメリカではすでにそばへのグリホサートの残留基準は30ppmとなっている。アメリカのそばには収穫直前にグリホサートが散布されている可能性がある。
そばへの農薬残留については、玄蕎麦流通協議会が毎年農薬残留試験結果を公表している。200種あまりの農薬を調べているが、残念ながらグリホサートは調べられていない。
協議会事務局へも問い合わせてみたが、
「確かにグリホサートは調べてない。収穫直前に撒くなどの使い方は聞いたことがない」
とのこと。
現在の国内基準値は0.2ppmなので、アメリカ産そばを調べたら違反しているものが見つかる可能性がある。しかし、日本でも30ppmに緩和されてしまうと問題なしとなってしまう。
(植田武智=うえだ たけのり・科学ジャーナリスト、『週刊金曜日』2017年4月21日号掲載)