化石燃料の利用にいまさら積極的な米国や日本の謎
2017年5月19日11:02AM
「トランプ政権の米国は自然エネルギー利用に敵対的とは言えず、当面は従来の環境政策が継続される」。来日した国際環境NGOグリーンピース・インターナショナルのジェニファー・モーガン事務局長が4月19日に東京都内で講演した。
昨年11月に気候変動対策の国際的枠組みであるパリ協定が発効。締約国は温室効果ガスの削減目標の提出などが義務付けられている。ところが、米国のトランプ政権はパリ協定からの離脱を表明。5月までに最終判断をすると見られる。
モーガン氏は、化石燃料の利用に意欲的なトランプ政権を「科学的、経済的、道徳的に外れている」と批判。その一方で、「さまざまな環境規制が各セクターにかけられている。ニクソン時代に作られた大気浄化法の解体にも時間がかかる」とも述べ、急激な政策転換は難しいとの見通しを示した。パリ協定離脱に関しては、米石油大手のエクソンモービルが残留を訴えるなど、米国産業界からも異論が挙がる。また、米国内での自然エネルギー利用についてモーガン氏は「共和党支持州のアイオワ等で風力発電が伸びている」と強調した。
さらにモーガン氏は中国やインドで石炭火力発電が減少する中で日本が増強へ向かうことに「他国は脱石炭に向かっており謎だ。気候変動対策で国際的役割を果たすべきだ」と述べた。
(斉藤円華・ジャーナリスト、4月28日号)